先輩の伝えたいこと (ページ7)

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昆布② ページ7

Aとパンダとの対人が終わったあと、Aは1人でどこかに行ってしまった。
一瞬しか見えなかったけど、Aは悲しい顔をしていたから、僕は後を追うことにした。

Aは自販機の所に膝を抱えて座っていた。

狗「昆布。
A。」

『棘先輩…。』

Aは少しだけ顔を上げて僕を見た。
僕はAの横に同じように膝を抱えて座った。

『私は子供の頃からよく怪我をしたりみんなに迷惑かけてばかりで、
この高専に来たからには迷惑をかける訳にはいかないのに…。
今こんな調子じゃ、いざ一級や特級と戦うときみんなと戦えない…。』

僕はAの話をあらかた聞くと、
スマホを取りだしてAに見せた。

狗「すじこ、高菜。
“だからここで学ぶんだよ、みんなで。”

おかか、明太子、鮭。
“Aは少しゆっくりで、ちょっと危なっかしいけど、誰にも持ってない力があるんだよ。”」

狗「ツナマヨ、昆布
“それをもっと上手く使いこなすために、今は出来なくてもいつかできるように頑張ろう。”」

Aはスマホから僕に顔を向けた。

『私、強くなれるでしょうか？』

狗「昆布。
(できるよ。)」

僕はスマホを使わずに、自分の言葉でA
に伝えた。
Aはうるうるとした目元を擦ったあと、
立ち上がった。

『棘先輩、ありがとうございます！
私頑張ります！』

狗「鮭。
(うん)
すじこ。
(戻ろ。)」

『はい、戻りましょ！』

狗「？！」

伝わったのかな、僕の言葉が。

『棘先輩、早く行きましょ！』

いつの間にか先に歩いているAのあとを僕は追った。