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呼ばれたのは僕の名前。
急いでこちらを振り返ると、光の差す方から、何人かの人がこちらへ向かって走ってくる。
5人、かな。
石原さんは焦った様子で逃げだす。出口の方へと。
涙はまだ、流れている。理由もなく流れ続ける。
このまま溺れてしまいたい。そう思ってしまうほどには僕の心は壊れていた。
ぼろぼろ、ぼろぼろと流れ続ける。
石原さんが約束を破ったということがとどめを刺したのだろう。
今まで心の奥にひっそりと、感情を厳重に抑え込んでいた鍵がこじ開けられた。
なんで、僕だけ。
誰か、僕を認めてよ。
「……うん、Aは十分頑張ってくれたよ。1人で、よく頑張ったねぇ」
ふわりと頭を撫でられる。驚いて顔を上げるとそこには、僕が幼いころからずっと眺めていた顔があった。
とても綺麗で、僕が憧れた人。
もう汚れてしまった僕には触ることができないと諦めた人。
ぼくが、失望させてしまった人。
『いずみ、さん』
「そうだよ、お兄ちゃんだよぉ」
わしゃわしゃと少し乱暴に頭を撫でられる。
髪の毛が、なんて少し嫌そうなそぶりを取ってみても、泉さんはずっと笑っている。
笑って、僕の頭を掻き混ぜる。
きっと、この人は僕が一ミリも嫌がっていないことなんてお見通しなんだろうな。
……ずるいなあ。
そんな思いは、目の前の笑顔に吸い取られて消えていった。
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Knights を護る騎士でいたかった(プロフ) - 果凛さん» リクエストしたものを最後まで書いてくれてありがとう!凛ちゃんが引退しちゃうのは寂しいけど戻ってくるのを待ってます!また復活したらよろしくお願いします。完結おめでとうございました!!! (2017年11月30日 16時) (レス) id: 7e00625b4b (このIDを非表示/違反報告)
果凛(プロフ) - あっ、誤字って騎士ちゃんのコメントか! 勘違いした、ごめん (2017年11月27日 7時) (レス) id: dc990c7092 (このIDを非表示/違反報告)
果凛(プロフ) - Knights を護る騎士でいたかったさん» 全然大丈夫! むしろアイデアもらっちゃってごめんな汗 えっ、誤字ってた!? どこか教えてもらっていい? (2017年11月27日 7時) (レス) id: dc990c7092 (このIDを非表示/違反報告)
Knights を護る騎士でいたかった(プロフ) - 何処かしらだすっごい誤解字ってる… (2017年11月27日 0時) (レス) id: 7e00625b4b (このIDを非表示/違反報告)
Knights を護る騎士でいたかった(プロフ) - 完全に移すようなことはしないけど何処からしら似ちゃうかも… (2017年11月27日 0時) (レス) id: 7e00625b4b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:果凛 | 作成日時:2017年10月25日 16時