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『は〜お腹痛かった…』
「笑いすぎだっつの」
『だって面白くて』
「失礼だなおい」
ひとしきり笑ったあとはあ、と息を吐き出す。
大輝はまだ少しすねた感じ。
『あ、ねえ、さっちゃんは元気?』
「さつき?元気なんじゃねえの」
『何その適当な感じ。家隣のくせに』
「仕方ねーだろ。最近あってねぇし」
『それって大丈夫なの?…恋人のくせに』
「恋人ぉ?誰と誰が」
『え…大輝とさっちゃん……?』
彼が顔を歪めて聞いてくるから、そう言うと「はあ?」と間抜けな声を出した。
いやいやいや、何その感じ。
『付き合ってないの…?』
「付き合ってるわけねーだろ」
大輝はそう言って呆れたように笑う。
ちょっとまって、それじゃあ私誤解してたってこと?
大輝とさっちゃんが付き合ってるって聞いたから私は
大輝を好きな気持ちを殺したのに。
突然俯いて話さなくなった私を不審に思ったのか彼が「A?」なんて優しく名前を呼ぶ。
それに胸がきゅっと締まって。
ああ、私単純だなあ。
あんなに必死になって消した気持ちが彼の一言で簡単に舞い戻ってくるんだから。
我ながら笑ってしまいそう。
『…、じゃあ大輝今はフリーなんだね』
「うるせーお前もだろ」
『まあね〜』
手元のカップを持ち上げて最後のひとくちを飲みほす。
「なあお前明後日暇?」
『明後日?ってクリスマスじゃん。暇ですよ、残念なことに』
「なら丁度いいな、ちょっと付き合え」
『めっちゃ上から…いいけど』
あまい
あまいよ大輝。
強引な言葉とは裏腹なその顔はなに?
ちょっと赤くなっちゃってさ。
私単純だから、期待しちゃうよ。
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