* ページ22
*
『敦くんはサンタさん信じる?』
「え〜、そりゃいるっしょ」
私の部屋で市販のケーキを貪りながら「だって毎年お菓子届くし」と敦くんは付け加えた。
丸テーブルを挟んで対坐し、私と敦くんはひっそりとクリスマスパーティ…まぁパーティといえるほど大層なものではなく、ただのお家デートなのだけど物は言い様ということで。
1ホールあったショートケーキも敦くんひとりで半分程平らげ、それでも彼の手が止まることはない。
「てか、A食べないの?」
『え、食べていいの?』
「いいに決まってんじゃん、はいあーん」
フォークをぶすりと突き立てたケーキの一部分が私の口許に寄せられる。
恋人だしと割りきって思いきって口を大きく開けるもケーキは収まりきらず、口の周りを盛大に生クリームで汚した。
端からみたら離乳食食べた赤ちゃんみたいな。恥ずかしい。
「相変わらずちっちゃい口だねぇ」
『んむ、』
「なんかリスみたい」
敦くんの大きな手がもぐもぐしてる私の頬を愉快そうに包んで「勿体なーい」と親指で生クリームを拭う。
そのまま指を口に含む彼に改めて性差を感じて、ちょっぴりときゅんとした。
『敦くんはおっきいね』
「何それ。誘ってる?」
『や、そうじゃなくて』
敦くんのフォークを持ってない方の手を包んで、『手とか口とか、もちろん身長も、男の子だなぁって』と温かい木目細かな肌を撫でる。
「Aはちっちゃいね。ぜんぶ」
『敦くんと比べたらね』
「おっきいのおっ ぱいくらいじゃない?」
『こら』
軽く彼の鍛えられた二の腕を小突くと「おりゃ」という声と共に敦くんの腕のなかに閉じ込められた。
「ほら、すっぽり」
あまいとろけそうな声が私の鼓膜を揺らす。子供体温なのか私より幾分も温かい体がぴったりと密着して、ぐんと私の体温やら心拍が急上昇。
いつもお菓子の匂いなのに、これだけ近距離だと柔軟剤とかのちょっと男らしい大人な匂い。ずるい。
『あ、あつしくん、苦しいよ』
「苦しくない」
『苦しいってば』
ほんとに、どきどきでくるしいから。
笑みを含んだ声で私を宥めつつ彼の私を抱く力はだんだんと強まってく。ギブアップだと脇腹を擽れば「それは反則だから」とけらけら笑いながら離してくれた。
「アララ、顔真っ赤」
『真っ赤じゃない』
「いや真っ赤だし」
.
11人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「黒子のバスケ」関連の作品
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ