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実は毎年、クリスマスは緑間家と我が家でパーティーをするのだ。
てことで二人揃って家に帰ると、お母さんに遅すぎると一発殴られたり、真太郎のお母さんに何故かニヤニヤされたり、お父さんにウザ絡みされる真太郎を見て笑ったりと色々あった。
そして現在。時刻は10時半。いつもは真太郎も寝てる時間だけどこの日は毎年起きている。あとあれ、お正月も。
酔いつぶれた大人達に毛布を掛けてから、飲み物を持って私の部屋へと向かう。
「はい、どうぞ」
コトリと真太郎の前にお汁粉を置いて、自分も隣に座る。
「ねぇ、真太郎」
「なんだ」
「私ね、秀徳いく」
まだ言っていなかったなと思い、改めて告げる。彼は分かっていたかのように一言だけ、そうかとかえしてくれた。
ゴクリとお汁粉を飲む音が部屋に響く。無言の空間だけれどそれが心地いいと感じるのは、一緒にいるのが彼だからだろう。
本当にあの男の子には感謝だ。名前ぐらい聞いとけばよかったと、少し後悔。
「そういえば」
「んー?」
「あんな時間までお前はどこにいたのだよ」
今聞く!?とか思ったけどそういえばこれも言っていなかったな。うーん...そうだな。強いていうなら
「......サンタさんに、会ってたかな」
「は?」
意味が分からないと言った声が返ってくるけど気にしない。
トナカイさんだなんて言ったけど、大事なものを失わないで済むように、やりたいことがわからなかった私に、自分の道を見つけるという奇跡をプレゼントしてくれた彼はサンタさんだ。
また、どこかで会えないかな。なんて願うのは贅沢かもしれないけれど今度あった時にはお礼をもう1度言いたいな。
窓の外では雪が未だに降り続いていた。
真太郎とそのサンタさんと私が出会うまであと数ヶ月となることは、まだ誰も知らない。
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