【テニプリ】レズで何が悪い！！4【立海】

185話 ページ46

＿＿＿＿＿＿＿白石side


財前「なんでそいつなんですか？！」


白石「なっ…」



大声を出す財前に言葉を失う


…本当に、これが財前光なのか？


いや…これこそが本当の財前光なのか


声を荒らげ、必死に居場所を守ろうとする一つ年下の後輩こそが彼だったんだ


信じられない光景に全員が絶句していた



財前「俺の方が先輩らと長くいるのに…なんで新参者のそいつばっかり構うんですか！！」


謙也「お、おちつけや財前！そんなんお前らしくないやん！」



焦る謙也の言葉に財前は目線を下げた



財前「俺らしくない…？どこがです？


俺はずっと、先輩らとテニスしたいですよ！！


そいつに何度も忠告した！！我慢した！！見て流しました！！


これ以上、何に耐えればいいんですか！！」



耳鳴りの後、帰ってきたのは際立つ静寂だった


財前の呼吸だけが響いて、彼に手を伸ばすことも出来ない



謙也「財前…」


財前「……」



この状況にふさわしい名前とはなんだろうか


この感情をなんと呼ぶべきなんだ


やりどころのないこの悲しさと哀しさは一体、何なんだ


この場ですべきことの正解を教えてくれ



俺は四天宝寺の部長という肩書きだけの人間に過ぎなかったんだ


大事な部員のこともろくに分かってやれない


四月一日さんのことだって…



財前「…俺は、四天宝寺が好きです…だから、こんなの嫌だ」



財前はそう吐き捨てるとその場が走り出した



謙也「財前！！」



謙也が続いて走り出す。俺も走り出そうとしたが、この状況に足を止めてしまう


四月一日さんは、大丈夫だろうか


止めた足と共に、彼女の方へ振り返る


彼女は平然を装ってる風であったが、その透き通った毛先から垂れる雫と悲しそうな表情にかける言葉が見つからなかった


若干濡れた彼女の頬に顔を顰めた



A「…行ってあげてください」


白石「……ほんまに、すまん…」



苦しそうに開かれた口に酷い罪悪感を覚え、財前を追った



白石「……」



脳裏に浮かぶのは、財前の後ろ姿と四月一日さんの薄い笑顔



白石「…なにが四天宝寺部長や」



何が白石蔵之介だ



白石「……何も守れてへんやないか」

186話→←184話

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す