昔話〈弐〉 ページ22
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今からちょうど十年前のことです。
隣町よりずっと東の村に"鬼が出た"という噂が流れてきました。
村人は片っ端から捕えられ、ただ殺されるか喰われるかで命を奪われたそうです。当然ながら村は崩壊です。
そしてその被害は、少しずつ私達が住む町に近づいてきました。
誰もが恐怖し、遠くへ身を移そうとする人が後を絶ちませんでした。
でもそれは上の方達にとっては良いことではありません。隣町は城下町で、多くの町人に寄って経済が回ってるんですから。
そこで殿様は、町に住まう鍛治職人達に御触れを出しました。
【鬼を倒す刀剣を打て。最も優れた刀を打った鍛治職人には褒美をつかわす】
そんな御触れでした。
私達にとって、これほどの機会はありません。直ぐに父と三年の修行を経て腕を上げた兄が、鍛刀に取り掛かりました。
三日三晩刀を打つ音が響いた。
でも、鬼を切れるほどの刀は打てなかった。
どうするかと家族皆で頭を抱えた時、兄が、旅先で聞いたという恐ろしいが確実に優れた刀剣を打つ方法を語りました。
【遠い昔の異国で、とある梵鐘職人が帝より優れた鐘を造ることを命じられた。
けれど硬さを重視すれば音が濁り、音を重視すれば二十も突かぬ間に鐘が崩れる。
職人は考え、そして＿＿
自らの末娘を炉に落とした。
娘より造られた鐘は酷く美しく、突けば七色の音を響かせた。】
この方法、曰く、「
これしかない。そう、私達家族は悟りました。
...けれど私達は、家族を炉に突き落とし刀剣を打つ、なんて非道なことは出来ません。
変わりに使ったのは、母の美しい真白の髪でした。
結果として、それは成功しました。
母の雪色の髪から造られた刀は、白銀のように美しく、そして真冬の雪のような冷たい鋭さを帯びた刀に打ち上げられた。
これほど優れた刀剣はない。そう自信を持って言える出来で。
それを持って、私達は刀剣の献上祭へ参加するために城へと足を運びました。
そこで、鬼が現れたんです。
誰もが己が刀剣の優れ具合を証明するために鬼に立ち向かっていきました。
でも、鬼にとってそんなの無意味だった。
その場にいた者は皆殺されました。まるで紙屑のように。
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父も母も兄も姉も。
皆、私と冬夜を守るために死にました。
私達を守るために、殺されました。
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狩歌(プロフ) - 作者さん» 私も作者さんのコメントで大泣きしました。ありがとうございます...！！ (2020年2月14日 8時) (
レス) id: 8b0337ee0c (このIDを非表示/違反報告)
作者 - 大泣きした…もうやばい…語彙力低下した… (2020年2月14日 1時) (レス) id: 514b4bbba8 (このIDを非表示/違反報告)
狩歌(プロフ) - かふぇいんさん» 告白されちった(違う)。そんなこと言っていただけて感無量です。ありがとうございます！リクエスト了解しました！もうしばしお待ちください！ (2019年2月10日 22時) (レス) id: 8b0337ee0c (このIDを非表示/違反報告)
かふぇいん(プロフ) - 連続でコメントすみません…！夢主ちゃんの質問コーナーみたいな茶番が見たいです。ぜひお願いします！ (2019年2月10日 22時) (レス) id: 67bbfad4af (このIDを非表示/違反報告)
かふぇいん(プロフ) - すき。すきです。すきしかでてこないです。これからも心から応援してますッ…！ (2019年2月10日 22時) (レス) id: 67bbfad4af (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：狩歌 | 作成日時：2018年12月28日 13時
