今日もお前は見ている【呪術廻戦】 (ページ22)

今日:10 hit、昨日:1 hit、合計:40,364 hit

閑話休題？ページ22

『ん……』

次に目が覚めた場所は救護室だった。
爪が食い込みボロボロになっていた右手には包帯が巻かれている。

「…！家入先生、相馬さんが」

うまく状況を飲み込めないでいると、ドアが開いた。
頭から血を流しながら平然と立つ男、加茂憲紀は私と目が合うとこの部屋の主である家入硝子を呼びに走った。

あの風貌だ、彼こそかなりの傷を負っているのではないか。
心配になったが何事もなかったかのように目的を果たしすぐに戻ってきた。

「体調はどう？」

『得には』

「はぁ…無茶しすぎ。まだ術式上手く使えないんでしょ、自重することを覚えな」

『毎度申し訳ない。…そういえば、あの後って一体…』

再び大きくため息をついた家入先生は煙草を加え火を付ける。
彼女の目は、加茂に向けられていた。

「この子が見つけて運んできてくれたんだよ。それがなきゃ虚式に巻き込まれて今頃死んでたかもね」

そう言われて改めて私も加茂を見る。
あの近くにいたのだろうか。私も前よりは多少筋肉がついてきている。重たくなかったか、少し気になった。

「君には借りがあったからな。おかげでこの程度の怪我で済んだ」

『ああ、アレ？貸しだなんてそんな。こちらこそ命拾いしたわ、ありがとう』

照れ臭さもあったが、素直に言葉を口にする。
すると、加茂は目を点にした。

「君は＿＿礼を言えたんだな」

『なにそれ、嫌味？』

「いや、少し意外で…気分を悪くしたなら謝ろう」

眉を下げ、本当に悪気はなかったと表情で語る男に、軽く吹き出す。
これこそ意外だ。ポーカーフェイスで誰にも感情を悟らせない、そんなイメージを持っていたのに

「…そこまで喋れるのなら大丈夫だな。んじゃ、私は行くから。あとは若い二人でご自由に」

『え…先生、何処へ？』

「外だよ。これからある程度元気な奴らで野球するんだってさ」

そう言い、足早に去っていた家入。思わず、加茂と顔を見合わせた。
そのまま数秒見つめ合った後、口を開いたのは彼の方だった。

「動けるようなら、私達も行くか？」

『そう…ですね』

「…急に堅苦しくなったな」

『歳は同じだけど、先輩だから一応…嫌ならやめるけど』

「そのほうが君らしい。呼び方も好きにすればいいし楽に接してくれ。同い年なら尚更だ」

『そう…じゃあ、加茂で』

私が呼ぶと加茂は大きく頷く。
そして、手を差し出した。

「改めて、よろしく頼む」

『こちらこそ』

それを両手で固く握った。