野球観戦 ページ23
グラウンドに出ると、東京校の数名が既にユニフォームに着替えて談笑していた。
隣を歩く加茂の顔をちらりと覗くと“行って来い”と背中を押された
「あ!A!もう出てきていいのか?」
『うーん、多分。』
「ほんっと、心配したんだから」
「まあ、無事で良かったな」
それに甘えて、同級の彼らの方へ向かった。
こうやって4人揃って話すのは初めてのことだったため、少し頬が緩む
「そういや、Aは野球すんの?」
『人数足りてそうだし、観戦するだけにしようかと…』
「それよりも!何か言うことあるんじゃないの?A!!」
鼻息を荒くして詰め寄る野薔薇に、私は思わず数歩後ずさる。
言うこととは?思い当たる節がないのは私だけでなく、他の男二人もそのようで首を傾げていた
「加茂憲紀と一緒にいたんでしょ!?あの人、アンタが眠ってる間もずっと看てたんだから」
「?それがどうしたんだよ」
「なんとも思わないの!?男女二人で救護室とか…何か起こらない訳が無いじゃない!!」
そうなの!?と虎杖が過剰に反応するが、生憎野薔薇が思っているようなことは万一にもない。
友達になっただけ、と軽くあしらうが二人の嫌らしくつり上がった口角を見るに、暫くはイジられそうである。
『ほら、もう皆んな揃ってるでしょ。行った行った』
「A…なんか雰囲気変わった?」
野薔薇からの思わぬ問いに小首を傾げる。変わったって―――…私が?
「何ていうかこう…前まではもっと口数が少なかったし、近寄るな!みたいなオーラがあったのよね」
「あー、なんか釘崎の言いたいことわかるかも」
『…気の所為よ』
「またまた!私達が知らない間に何かあったんでしょ?ったく水臭いわね、さっさと言いなさい」
再びジリジリと迫り来る野薔薇に逃げ場をなくした私。
助け船を求めようと伏黒を見るも、心ここにあらず…というか考えるのを放棄した、そんな顔をして目も合わせようとしない。
終いには聞くまで私達行かないから!と言い出す始末。
『何かあったというか…こうやって4人揃うのが初めてだったから嬉しい、なんて…浮かれてるだけ』
口にして気付いた。これ、中々恥ずかしいことを言ってしまったのでは?と
自覚してからでは遅い。徐々に熱を持ち始める顔を見られないように、
固まっている3人から逃げるようにして、立ち去った。
(「何よ…可愛いところあるじゃない」)
(「意外と照れ屋…?」)
(「はぁ…行くぞお前ら」)
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作者名:慎 | 作成日時:2020年11月14日 14時