猪突猛進 ページ5
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あ〜…北さん、ホンマになんであんなカッコええんやろ。
ぼうっとしながら窓の外を眺めるAは、やはり授業中も北のことを考えていた。窓の外にある丸いものを見つけては北の後ろ姿と重ねてニヤける。北さんは可愛いとカッコイイのギャップがええねん。アイツらには到底理解出来ん領域の話や。
と、昼間恋愛相談をした二年四人組への不満を漏らしながら伸びをした。
「宮〜、授業中は背伸びすんな〜」
「背伸びすんのとか生徒の自由やんか、センセ」
「後ろの男子が見えへんっちゅうねん」
「そんなん、私より小さいのが悪い」
ははは、と笑いに包まれる教室。Aは後ろの席の男子の方を向くとニヤリと笑って話しかける。突然振り向いた学校一の美少女に後ろの席の男子もピシッと姿勢を正す。一体なんの公開処刑だというのだ。
「なぁ、私そんなに邪魔なん?前見えへんの?」
「エッ、や、別にそんな支障ない、けど」
「ほらきた、センセ!今言うたやろ!」
私の言い分が圧勝、と言うように満面の笑みで笑うA。クラスの皆が笑いながらもその笑顔に見惚れていた時、数学の先生はメガネを指で上げながら大きく息を吐いた。そして、こう一言。
「宮、さっきの言葉北に言いつけんで」
「―――は?」
「"私より小さいのが悪い"やったっけ?北幻滅するやろな〜、お前のそんな態度聞いたらなぁ」
あのような公開告白を毎日繰り広げていれば、そりゃ噂というものも広がるようで。Aは一度この数学教師の目の前で告白してしまったことがあったのだ。
みるみるうちにAの顔が青くなり、目には薄ら涙が浮かぶ。
「セ、センセ〜!!許して!!北さんだけは、北さんだけは勘弁してや〜!!」
「どないしよかな〜、宮が次の問5解いてくれるなら黙っといてやってもええねんけど」
「あああそれでええから、お願いしますお願いしますホンマに!!」
クール、といった印象が常であるAのちょっと変わった一面。それは恋にまっしぐらな乙女であるということ。
純粋で、真っ直ぐで、ただ自分の好きな人一人に向かって突っ走る。そんな所が彼女が好感を得るところであって、可愛らしい一面でもあった。恋に関して彼女はまさに、猪突猛進―――
「チョロいな宮」
「センセ!!出来た!!」
「お前これ全然違うやないかい」
しかし、これほどにまで真っ直ぐで可愛らしい彼女を射止めそれを断り続ける"北"とは、一体誰なのだろうと彼女の同級生はいつも不思議に思うのだ。
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かなで(プロフ) - この間初めて読んだのですが、面白すぎて一気読みしてしまいました!評価ボタンが一つなのがとても惜しいです笑 これからも頑張ってください! (2020年3月8日 15時) (レス) id: e96d9c0e1e (このIDを非表示/違反報告)
ぴいち(プロフ) - 月埜さん» 月埜さん、コメントありがとうございます。連載当初から見ていただいて、こちらも感謝の気持ちでいっぱいです。最後までお付き合い頂きありがとうございました! (2020年2月26日 22時) (レス) id: f952b08383 (このIDを非表示/違反報告)
月埜(プロフ) - 完結おめでとうございます。公開初日から読ませて頂きました。月並みな言葉しか言えませんが、主ちゃんと北くんの関係が最初から最後まで本当に素敵だなと思いました。素敵なお話をありがとうございました! (2020年2月26日 18時) (レス) id: d1ca7a883a (このIDを非表示/違反報告)
ぴいち(プロフ) - 柿山さん» 柿山さん今回もお目に止めて頂きありがとうございます!!真っ直ぐな主人公とそれを蔑ろにしてくれない北さんのモダモダした関係が続きますが、気長に読んでいただけたら嬉しいです! (2020年2月14日 10時) (レス) id: f952b08383 (このIDを非表示/違反報告)
柿山(プロフ) - あああ〜〜もう今回も今回とて好きです!!!夢主さんの北さんに対する真っ直ぐすぎる感情表現が堪りません…!!しかもそれを雑に扱うのではなく、丁寧且つスパッと対応する北さんの在り方も素晴らしいです!!!これからゆっくりと楽しみにしております…!!! (2020年2月13日 22時) (レス) id: 296b088bbe (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ぴいち | 作成日時:2020年2月13日 21時