5話 溜め息の先に ページ6
『……はぁ〜…』
おれは本日何回目かの溜め息をついた。その様子は、恋煩い(相手は言わずもがな)での最初のころのようだったという。
少し、というどころではないが悩みがあったのだ。
もう一度溜め息をつくと、突っ伏したおれの上から鈴を転がしたような、カラ松さんほどではないが心地よい声が聞こえてきた。
「もう、あんたさっきから溜め息つきすぎ。うるさいわよ!」
『んん……君かぁ』
「『君かぁ』じゃない!…何、悩みでもあるの?」
仕方ないから聞いてあげるわ、と腕を組んでおれの隣の席にふんぞりかえるのは中学からの腐れ縁だった。
べっつに頼んでませんけどぉ……
そういうと色々と面倒なことになるので言わない。彼女は妙なとこでお節介だ。
『おれ、好きな人いるんだけどさぁ』
「……そうなの?いつから?」
『三ヶ月前から告白し続けてる』
あまり公にはしなかったが、それでも知ってる人は知ってるのに、知らなかったらしい彼女はぎゅっと眉を潜めた。
「てことは脈無しね。あら残念」
さらりとそう言ったこいつは、おれの悩みを解消する気ないなと思う…
おれの悩みはそう、最近好きな人といつまでたっても距離が縮まらないことだ。
おれだって年下とはいえ子供じゃないんだから、色々したい。なにとは言わないが。
でも嫌がることはしないって決めてるから。これじゃいつまでたってもイタチごっこだ!
「……それじゃ、私が協力してあげる」
『んぇ?……はあ?』
そう言って彼女はニヤリと笑った。うっわコワ。
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サトー(プロフ) - ユラさん» ありがとうございます!続編は…気が向いたらその内書くかもしれませんね (2018年2月3日 0時) (レス) id: 6beedd7056 (このIDを非表示/違反報告)
ユラ - 面白かったです!番外編と言わず続編も作って欲しいです!! (2018年1月30日 22時) (レス) id: 98acb8ec1f (このIDを非表示/違反報告)
サトー(プロフ) - katsura27さん» 完結しました!ありがとうございました! (2017年10月7日 15時) (レス) id: 06798f4f12 (このIDを非表示/違反報告)
katsura27(プロフ) - 更新頑張って下さい!応援してます! (2017年10月7日 14時) (レス) id: 25171f0d20 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:サトー | 作成日時:2017年1月1日 11時