マニアな愛 *8 ページ26
センラさんの発言に部屋が一瞬で静寂に包まれる。
その刹那、私の近くで
“ブチっ”と何かが切れる音がした
(いや、実際には何も切れてないんだろうけど…)
音の正体を探るべく、音がした方向へ視線を移し、
私は息を呑む。
私を抱きしめたままのうらたさんは言葉を発さず
真顔でセンラさんを凝視していた。
静かに、表情を変えず、でも確実に、嫌悪を剥き出しにして
”絶対零度”と表すに相応しい怒り。
それはもう、仲間に見せる
敵に向ける
間近で見るうらたさんの静かな怒りに喉の奥が、
気道を塞がれたみたいに締まってまともに息ができなくなる。
そんな私と違いうらたさんを怒らせた張本人はこんな状況でも何とも思わないのか余裕の笑みを浮かべたまま黙っていた。
まさに一触即発…
均衡を崩すことが命取りになりそうな雰囲気の中
先に動き出したのはうらたさんだった。
「ハッ…それで挑発したつもりかよ」
どんな暴言、罵声が響き渡るかと身構える私の想像とは裏腹に、吐き出された嘲笑はとても軽いものだった。
軽い口ぶりに思わず身構えて緊張していた肩をそっと撫で下ろす。
(なんだ…この人達にとってはこのくらいの喧嘩、日常茶飯事なのかも…ついハラハラしちゃったな)
「年上への言葉遣いには気をつけろっていつも言ってるよなぁ…?センラ」
“ブッコロスゾ”
うらたさんの普段の声は、大人の男性の中では高い音域に分類されると思う。
しかし今の声は本当にうらたさんの声か疑うほど低く、先程の絶対零度の対で、まるで地を這う地獄の炎の様に熱を感じた。
うらたさんのエメラルドの目が鋭く光を放ち、センラさんを真っ直ぐに睨みつける。
その視線すら恐るるに足らんと言った様子でセンラさんは口を開いた。
「そんな睨まんでくださいよ。いややなぁーうらたん、ジョークですやんジョーク!本気にしないでくださいよー」
ヘラヘラと笑う彼はまるで反省していない様子
“チッ”と舌打ちが頭上で聞こえた。
次の瞬間、うらたさんは一瞬で私の足を掬ったかと思うと
そのまま流れる動作で私を肩に担いでドアの方へ歩き出す。
「え、ちょっと!うらたさん!!?離して!?」
無言で扉に手をかけるうらたさん。
部屋を出る際に最後に見たセンラさんは
他人事みたいに笑って手を振って私を見送った。
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悠永@星点灯ありがとうございます。(プロフ) - 結月。さん» 暖かいコメントをありがとうございます。1章出たての頃から見てくださっているとのことですごく嬉しいです😭途中間が空いてしまったりもしましたがきちんと完結させるつもりなのでどうか3章も引き続き見てくださったら幸いです🙇♀️ (2023年2月7日 10時) (レス) @page46 id: 41d5883f51 (このIDを非表示/違反報告)
結月。(プロフ) - コメント失礼致します。2章完結おめでとうございます!!作品ができた当初からいつも更新を楽しみにしておりました。物語の展開もすごく面白くて、大好きな作品です。これからもとても楽しみです。陰ながら応援しております…!! (2023年2月7日 4時) (レス) id: 286dc51d91 (このIDを非表示/違反報告)
悠永@星点灯ありがとうございます。(プロフ) - にやあ確定さん» 当作品初めてのコメントで、作者はとても感激しております!!!更新頻度の事、内容、楽曲の解釈共に褒めていただけてとても嬉しいです…!🥹決して短くない私の小説を読んでくださりありがとうございます。ぜひこれからもお付き合い頂けると幸いです! (2022年12月14日 8時) (レス) id: 41d5883f51 (このIDを非表示/違反報告)
にやあ確定 - コメント失礼いたします◎更新頻度が高い上に物語の内容にとても惹かれました...😽何より作者様の楽曲への解釈がとても素敵です‼✨素敵すぎる悪魔執事を書いてくださり有り難うございます😈✨ (2022年12月12日 22時) (レス) id: 28b1a8c3b0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:悠永 | 作成日時:2022年11月24日 11時