アガペーな愛 *14 ページ15
「え、A起きてたん!?」
「おん。お前が戻ってくる少し前からな。」
志麻さんは坂田さんの質問に答えつつ、私の体を支えてゆっくりとベッドの淵に座らせた。
体を起こしてもらった事で広がる視界に坂田さんを捕えると、坂田さんは私が起きていた事に驚いて呆然としている様子だった。
「んじゃま、そーいうことでさっさとナカナオリしろよな」
ソファの上に置いてある自分のジャケットを拾って肩にかけた後、ヒラヒラと片手を振り志麻さんは部屋から出て行ってしまった。
「………。」
「………。」
志麻さんが出て行った部屋に再び静寂が広がる。
坂田さんは気まずそうに斜め前の床を見つめており一向に私と目を合わせようとしなかった。
(多分これは…坂田さんから話しかけてくれるのを待ってたら
何日かかるか分からない…)
そう思った私は努めて優しく聞こえるように坂田さんに声をかける。
「あの…坂田さん、お隣座りませんか?」
私の問いに無言でブンブンと音が鳴るくらい大きく首を左右に振って坂田さんは答えた。
断られるのは想定外でどうしたもんかと考える。
(仕方ない…向こうから来てもらえないなら、私から行くまで…!)
ベッドから降りて床に足をつける。
そのまま立ち上がって一歩足を踏み出そうとした瞬間に、膝の力が抜けてガクッと体勢が崩れた。
(やばっ…転ぶ!)
私は突然のことに受け身すら取れず、
目を閉じて衝撃に備えた
…?
いつまで経っても訪れない衝撃に目を開けると
目に映るのは赤いジャケットで、すぐに坂田さんが受け止めてくれたのだと分かった。
「坂田さん、ありが…
抱き止める様な形で受け止めてくれた坂田さんは私の言葉を待たず、すぐに私の両肩を掴んで自分と私の間に距離を作った。
綺麗な赤い髪が俯いた彼の表情を隠す。
私の肩を掴む手に力がこもって坂田さんは静かに話し始める。
「Aごめん…。俺、感情コントロール出来んくて…そばにおったらまたAを傷つけてしまうかもしれん…」
“俺、Aが好き。だから傷つけたくない…”
自分のせいで私が気絶した事を気にしている事は容易に察した。
“傷つけたくないから離れる”
これだって1つの立派な愛の形なのだろう
でも、私はワガママだから
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悠永@星点灯ありがとうございます。(プロフ) - 結月。さん» 暖かいコメントをありがとうございます。1章出たての頃から見てくださっているとのことですごく嬉しいです😭途中間が空いてしまったりもしましたがきちんと完結させるつもりなのでどうか3章も引き続き見てくださったら幸いです🙇♀️ (2023年2月7日 10時) (レス) @page46 id: 41d5883f51 (このIDを非表示/違反報告)
結月。(プロフ) - コメント失礼致します。2章完結おめでとうございます!!作品ができた当初からいつも更新を楽しみにしておりました。物語の展開もすごく面白くて、大好きな作品です。これからもとても楽しみです。陰ながら応援しております…!! (2023年2月7日 4時) (レス) id: 286dc51d91 (このIDを非表示/違反報告)
悠永@星点灯ありがとうございます。(プロフ) - にやあ確定さん» 当作品初めてのコメントで、作者はとても感激しております!!!更新頻度の事、内容、楽曲の解釈共に褒めていただけてとても嬉しいです…!🥹決して短くない私の小説を読んでくださりありがとうございます。ぜひこれからもお付き合い頂けると幸いです! (2022年12月14日 8時) (レス) id: 41d5883f51 (このIDを非表示/違反報告)
にやあ確定 - コメント失礼いたします◎更新頻度が高い上に物語の内容にとても惹かれました...😽何より作者様の楽曲への解釈がとても素敵です‼✨素敵すぎる悪魔執事を書いてくださり有り難うございます😈✨ (2022年12月12日 22時) (レス) id: 28b1a8c3b0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:悠永 | 作成日時:2022年11月24日 11時