ボーイフレンド(借)ーレン・フレ ２

６０話 ページ12

ハルカが帰り、オレは館内に戻った…

(…宏光…大丈夫かな…)

カウンターに戻ると、姿がない…
隣の人に尋ねると、少し様子がおかしくなったからスタッフルームに戻ってるて言うことだった…ハルカが来たから…？

心配で様子を見に行くと、スタッフルームのソファで、力なく背もたれに寄りかかってる宏光がいた…
オレが行く入ってくるのを見ると、パッと目を逸らしてしまう…そのことが余計哀しかった…まだハルカへ想いを残していることがわかるから…

「…アイツ、帰ったよ…」
極力何でもなさそうに伝えたつもりだけど…自分の想いの行き場がなくて…オレは宏光の隣に座り、膝に置いてある手を握った…

「…手、…冷てーじゃん…」
「…そか？、ちょっと…疲れてんのかな…バイト掛け持ち…やり過ぎたか、へへ…」
「…ウソばっか…」

無理して笑ってる宏光が愛しくて堪らなくて…オレは握った手を自分の口許に持っていき、そっとキスをした…

「…太輔…」
ドン引かれて、振りほどかれるかと思ったけど、宏光はそのままオレに手を握られてることを拒否らなかった…

「…オレじゃ…ダメ？」
「…」
「ハルカじゃないと…満たされない？」

宏光の瞳が…揺れて…気持ちを読み取りたくて、覗きこんだその目に映ってるオレの顔が、フワッと歪んだ…

…静かに流れてくるその想い…そして溢れた想いの先にいるのは、オレじゃない…


「…もう…終わってるから…」
「なら、どうして泣くの…？」
「…わかんね……」


ウソつき…全部わかってるから泣いてるんだろ…心が、ハルカを求めて泣いてるんだって…



…だってオレも…同んなじ…



あなたを…心から求めてる…



あなただけを……見つめてる…

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