【イナイレ】妖精の詩 5【無印】

64.ドッキリハプニング ページ14

所変わって、再びイナズマキャラバン。

いつの間にか無断乗車していた木暮について、瞳子は漫遊寺の監督と連絡をとっていた。
その結果、木暮がそう望んだのなら、と漫遊寺の監督が了承し、木暮のキャラバン加入が正式に決定した。
が、何やらいささか不満のあるメンバーもいるようだ。

「俺は反対でヤンス！こんな奴......」

「あーっ！！」

栗松の文句を遮った目金の悲鳴に何事かと視線をやれば、油性インクで落書きされたフィギュアを持った目金が涙を流していた。

「僕のレイナちゃんが〜......(泣)」

「ウッシッシッシッ！」

犯人は十中八九木暮であろう。
悪びれる様子は全くない。

「ぼ、僕もこんな奴が雷門イレブンに入るなんて絶対反対です！」

と、目金までもが反対した時、今度は栗松の叫びが上がった。
どうやらサッカー雑誌に落書きをされたらしい。
言わずもがな、木暮の仕業である。
キャラバンに加入して早々これだ。
もはや木暮の保護者となっている春奈は木暮を怒鳴りつけた。

「木暮君！皆に謝りなさい！ちゃんと謝らないと漫遊寺に帰ってもらうからね」

春奈に言われて渋々木暮は「ごめんよ......」と謝った。
そんな木暮の前に立ち、円堂は木暮のフォローを入れた。

「まぁ、本人も謝ってるんだからさ。なっ？栗松、目金」

栗松と目金は「キャプテンがそう言うなら......」と、仕方なく許すことにした。
それとほぼ同時に瞳子がキャラバンに入ってくる。
出発の準備が出来たようだ。

「よーし、出発だ！」

円堂は意気込んで一歩踏み出そうとした。
......が、

「......あらっ？」

「ん？」

踏み出そうとした瞬間、円堂は前のめりに倒れていった。
その円堂の前には、Aがいたのだ。


「「うわぁ！！」」


ズッデーン！！

円堂はAの上に倒れ込んでしまった。
どうやら円堂の両足の靴紐が一括りにされていたようだ。
もちろん犯人は木暮。

しかし倒れた本人たちは何故かその状態で硬直している。
おかしいと思った周りの面々がよくよく見てみると......、


「「「「ッ！！？」」」」


......二人は倒れ込んだ勢いで......キスをしてしまっていたのだ。


「「......〜〜〜〜〜ッ！！！//////」」


二人は暫しの硬直状態の後、顔を真っ赤にしながら慌てて離れた。
万年サッカーバカの円堂も、自分への好意には専ら鈍いAもさすがに恥ずかしかったらしい。
ほぼ八つ当たりの勢いで円堂は叫んだ。

「こ、木暮ぇーー！！」

気まずい雰囲気の中にあったのは、木暮の笑い声とAに好意を持つ面々のドス黒い嫉妬のオーラだけだった。

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