62.まさかの新入り ページ12
「監督......」
現れた老人を見て垣田が呟いた。
この老人が漫遊寺の監督らしい。
「漫遊寺サッカー部の？」
「はい」
瞳子が前に出て尋ねると、漫遊寺の監督は頷いた。
何故今の今まで姿を現さなかったのかを問うと、漫遊寺の監督はゆっくり話し始めた。
「この子たちが我が校を守るためにいかにするか、その決断もまた修練。勝つも負けるも人生の無駄にはならぬと何も言わずに見守っておりました。あなた方と共に戦った木暮とて同じことですじゃ」
漫遊寺の監督は春奈に視線を向けた。
「お嬢さん、木暮の心に貴方の言葉はきっと響くはず。今日のお心遣い、本当にありがたいことですじゃ」
次にAの方を見る。
「そちらの空色の髪のお嬢さんも、木暮にとっては特別な存在。貴方は木暮に目標を与えてくれた。そして部員たちに対する厳しい言葉と木暮への温かい言葉。貴方が漫遊寺サッカー部に与えてくれたものは大きい」
「いえ、私なんて何も......」
Aは苦笑する。
そう、何か意味があってやったわけではないのだ。
A自身、思ったことを偶にポンポン口を突いて出してしまう癖は自覚している。(その癖が正論だから相手も何も言えないのだが)
今回の木暮に対しての発言も、少しばかり捻くれている年下の少年にちょっとしたアドバイスをしてやっただけのことだった。
その後、木暮をキャラバンに勧誘したらどうかという話になったが、二人の監督により木暮の意思を尊重する事となった。
そして、Aはチラリと後ろを見る。
そこにはいつもの柔らかい笑顔ではなく、焦燥感の入り混じった落ち込んでいる顔の吹雪がいた。
試合の最中から、Aは吹雪の様子がおかしいことに気づいていた。
Aは嫌な予感に顔をしかめた。
なぜなら、彼女は吹雪士郎の秘密を知っていたからだ......。
そして次の日。
結局木暮は姿を見せず、貸しっぱなしのユニフォームは記念のプレゼントとしてそのまま譲ることにした。
これからの漫遊寺が思いやられる、と言ったのは誰だろうか。
漫遊寺を出発したキャラバンでは木暮が話題になっていた。
チームに入らなかったことを惜しむ者もいれば、イタズラされなくていいというシビアな者もいた。
が、Aは後方座席からの気配に苦笑した。
「壁山。アンタの隣、誰がいる？」
「えっ！は、はい、その......」
しどろもどろな壁山に染岡が身を乗り出してギョッとする。
「マジかよっ！？」
他の面々も同じように後ろを見てびっくり仰天。
｢｢｢｢えーー！？｣｣｣｣
そこにはユニフォームを着た木暮がいたのだから。
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女アスパラ - すごく面白いです‼‼‼‼つずきまってます (10月22日 20時) (
レス) id: 31d4d35068 (このIDを非表示/違反報告)
麗乃(プロフ) - 面白くて続きが気になります。更新待ってます‼ (2022年4月10日 13時) (レス) id: f8afe95a72 (このIDを非表示/違反報告)
杏(プロフ) - とても面白かったです！更新待ってます！ (2020年11月22日 16時) (レス) id: eec8bbc77e (このIDを非表示/違反報告)
仁王彩香 - 妖怪ウォッチの作品共々更新再開お願いします｡ﾟ(ﾟ´Д｀ﾟ)ﾟ｡ (2020年7月19日 0時) (レス) id: a3e64590b0 (このIDを非表示/違反報告)
仁王彩香 - 此方の作品も更新お願いします。 (2020年5月3日 3時) (レス) id: 9f5e24e49c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：AZUSA | 作成日時：2017年12月4日 23時
