【王賁】可惜身命.8 ページ2
王賁 「…すまなかった」
それは、王賁にとっても初めての感情で自分自身でも困惑するのに、彼女にぶつけてしまった事への謝罪の言葉だった。
たが、沈黙しか返ってこない。
…男して、今の台詞は無しだなんて言うことも出来ず、次の言葉を必死に考えていた時…
Aの泣き声が聞こえた。
驚いて振り向くと、床に転がったままで両手を顔で抑えて泣きじゃくる彼女がいた…。
A「だって…っ…、…
私が、…戦わないと、大切な人が
みんなしんじゃうのっ…」
慌てて彼女に駆け寄る。
王賁 「…A」
A「頭の中で…
死神の笑い声が…っやまないの…っ！
一族の呪いから…
私っ、…きっと一生逃げられないっ……！
だからっ、……決めたの。
私も……
中華統一のために戦い続けるって…」
王賁 「……ッ」
歯をギリギリと噛み締めたのは、憎かったからだ。
彼女を捉え続ける朱一族の呪いも…
王騎の亡霊も…。
彼女だって戦いを望んでいるわけじゃない…。
解き放ってやりたかった。
残酷な運命からーーー
A「……んっ！」
王賁はもう、自分の感情を律するのを止めた。
気持ちのまま…本能のまま…
Aの柔らかい唇を貪るように
…激しく求めた。
Aも目を閉じて、
溢れた涙が頬を流れていくのを感じた。
どれくらいたっただろうか…。
唯一感じたのは、
お互いの熱い吐息と…
涙でぐちゃぐちゃなAしか
瞳には映らなかった。
燃え滾る気持ちを抑えて、
王賁は泣くAの目元に軽くキスをする。
そして、Aの手を掴んで
自分の心臓に当てた。
王賁 「俺は、お前を置いて死なない。
お前を一人しないと誓う…。
だから…お前も生きろ。
……………俺と共に生きてくれ」
懇願するような弱々しい彼を、初めて見た。
手からは、ドクン…ドクン…と彼が生きている証が伝わる。
想いが溢れ出して、グチャグチャになる…。
ただ、嬉しかった…。
彼の想いが…彼の言葉が…。
A「うん……」
涙で溢れるAには、それしか言えなかった。
それでも、十分だ…というように、
彼が優しく抱きしめてくれた。
その腕で、止まらない涙を流した…。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 114人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ナタデココ(プロフ) - キングダム夢小説でこんなにいい小説に出会えるとは思いませんでした🥺♡お気に入り作者にも登録しようかと思ってます😌❤︎本当に宜しかったら、王騎様救済ルート、作って貰えませんか？ (10月4日 22時) (
レス) @page22 id: bb115dbd7a (このIDを非表示/違反報告)
09kokoa(プロフ) - ちさとさん» リクエストありがとございます！外伝の方で書いてみますね。いつかパパシリーズも書きたいと思ってます！ (2020年9月2日 20時) (レス) id: d89cc95811 (このIDを非表示/違反報告)
ちさと - 本編と関係なく政や信と結ばれるお話ぜひお願いします！！ (2020年9月2日 19時) (レス) id: 382e67ae5e (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：09kokoa | 作成日時：2020年9月1日 16時
