【カゲプロ】私の高校に転入してきたのは、鹿野くんでした。*１* (ページ15)

今日:5 hit、昨日:0 hit、合計:25,484 hit

15時限目ページ15

｢Aちゃんっ、一緒に帰ろ？｣

｢うん！｣

そして放課後。僕がAちゃんにそう話しかけると、Aちゃんは笑顔で大きく頷く。
ホント、もう可愛すぎだってば……そう思いながらAちゃんと一緒に教室を出ようとすると、何故か他クラスの男子達が出入口に群がっていた。
何だろう、この後この教室で何かするのかな？
そう思っていると、その集団のうちの１人がこちらに向かって歩いてくる。

｢あ、あのっ、天海Aさんですか？｣

｢え？はい、そうですけど……｣

そう尋ねられたAちゃんは、首を傾げてそう答える。するとその男子は、大きく息を吸ってこう言った。

｢――好きです!! 天海さん、僕と付き合ってください!!｣

｢……えっ!?｣

男子達はその後に続いて｢俺と付き合って!!｣｢いや、ここは俺が!!｣と、何かのデモが始まったかのように騒がしくなる。突然の告白……しかも大勢の男子からという事もあり、Aちゃんは｢え……その、えっと……｣と、かなり戸惑っている。
……この人達、Aちゃんの事を全く知らないくせに付き合おうと思ってるの？僕は誰よりもAちゃんを知ってる自信はあるし、それに僕は……会った時からずっとAちゃんの事が――。
そう思っていると僕は知らぬ間にAちゃんに背を向けて前に立ち、マシンガンのように告白をし続ける男子達に向かって笑顔でこう言った。

｢――この子、キミ達と付き合う気はないらしいよ。それに僕は、見た目だけで決めて付き合いたいと思ってる盲目なキミ達とは付き合わせる気なんてないから｣

｢!! かっ、鹿野くん……？｣

｢……行くよ、Aちゃん｣

シンと静まり返った男子達の横を、僕はAちゃんの手をぎゅっと握って歩き出す。そして心の中がもやもやしたまま学校を出た僕は、手を繋いで早歩きで黙ったままだった。