ヘッドフォンエネミー(5) ページ8
「まぁまぁ、そんなにしょんぼりしないでください。この水族館、ご主人にピッタリなプランをやってるんです!」
わざとらしい表情のエネが映されるディスプレイには目も向けず、オレは再びペットボトルの蓋を開けた。
容器からは、力なく音が抜けて行く。
少々生温くなった糖液。
しかし、この落ち着きのある甘美さをもじっくり味わうのが、真のコーラ通というものだろう。
「『独身男性限定! 傷心エピソードを受付で語ると、入場料無料!』……ですって。ねぇ? ご主人にピッタリじゃないですか!?」
わざとらしく声を張り上げたエネ。
次の瞬間、オレの口からは、黒い糖液が勢いよく飛び出て行った。
喉に流れ込んだ分が気管に入り込み、オレは激しく咳き込む。
「ぎゃあ!? ご主人ちょっと汚い!」
「……ッ、ゲホ! なんだよそのふざけたプランは!」
なんだ、この悪意の塊のような水族館は……。
とんでもない商法だ。だがやけにオレに当てはまる状況すぎて、どきりとしてしまう。
それを振り払うようにオレは画面に目を向けた。
が、瞬間目に飛び込んできた光景に、今度はオレが声を上げる。
目の前のキーボードの上には、何やら茶色い液体が降りかかっていた。
ブルーライトを反射しては、キラキラと輝いている。
作業台からはその液体が、ぼとぼとと床に零れ落ちていた。
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甘寧(本人) - あすみさん» あすみさん、はじめまして!おおおありがとうございます!書くのが上手い……(自分がアホ過ぎて)あまりピンと来ませんが、お褒めの言葉嬉しい限りです。更新、なるべく早く再開できるように頑張ります!ありがとうございます! (2015年7月28日 10時) (レス) id: 077743fc46 (このIDを非表示/違反報告)
あすみ(プロフ) - 初めまして。 私、こういうような書き方をする小説がとても好きでこの作品を見てとても書くのが上手いなぁと思いました。これからの更新がとても楽しみです!頑張ってください! (2015年7月28日 10時) (レス) id: ea9b626ffd (このIDを非表示/違反報告)
ゆるりら(プロフ) - もちろんです!楽しみにしてます! (2015年7月25日 19時) (レス) id: bb21b320ee (このIDを非表示/違反報告)
甘寧(本人) - ゆるりらさん» おお、ゆるりらさんではないですか!ありがとうございます(勉強してないとか言えない)ですよね!キドさんいいですよね!この小説でもキドさん出てきますのでその時はこのルートのキドさんもよろしくお願いします! (2015年7月25日 8時) (レス) id: 077743fc46 (このIDを非表示/違反報告)
ゆるりら(プロフ) - 私もキドさん大好きです!カゲプロのキャラで断トツ一番です!受験、頑張ってください!! (2015年7月24日 19時) (レス) id: bb21b320ee (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:甘寧 | 作成日時:2015年5月8日 20時