〜君との景色〜【短編集】

4月1日(……神田くん？) ページ6

「じゃ、行ってきます。」
『いってらー。』

干している洗濯物を取り、たたみ始める。面倒くさいな〜。とか、思いながらも何時もの事なので仕方ない。

たたんでいると、どこからか、私の携帯の音楽が鳴る。電話だ！電話！！携帯どこにある？！そうして洗濯物のたたんでない方をあさり、探す。
……あった！急いで出ないと切れちゃう！私はそのまま、誰かも分からずに耳にあて、

『はい。もしもし！』
〈……よう。〉

ん？この声は、神田くんでしょうか……？

『……神田くん？』
〈他に誰がいるんだよ。〉

ありゃりゃ。神田くんに突っ込まれちゃった。まぁ、着信を見なかった私のせいなんですけどね。

『初めてじゃない？電話したの。』
〈そうだな。交換しても電話しなかったしな。〉

あまり、お互い携帯をいじる方ではないので、他の友達ともほとんどしない。(ま、神田くんは性格上しないタイプだし、私はしたくても家事をほとんどやっているため出来ない。なんせ、両親共働きなもんで。)

携帯を肩と耳の間に挟め、たたむ作業を再開する。

『そういえば、どしたの？急に電話なんて…』
〈いや、特に用事はないんだが……〉

……なぜだか、神田くんの喋りに違和感が…

『そう？』
〈……あぁ〉
『へんなの〜』

ふふふ、と笑い、次の服にとりかかる。

〈なぁ、今日何の日か知ってるか？〉

今日？…4月1日……あ！

『エイプ……』
〈知ってるならいい。〉

最後まで言う前に遮られてしまった……。
っていうか、神田くんって、そういうの無関心だと思ってた……！！なんかごめん！

『それが、どうかしたの？……あ、嘘付くために電話したのか！』
〈まぁ、そんな所だな。〉
『神田くんも、暇人ですなぁ〜』
〈うるせぇよ。〉

また、ふふふ、と笑い、神田くんが少しふっと笑ったのも聞こえてきた。

『で、なにを嘘つくの？』
〈普通訊くか？〉
『普通じゃないもんで。』

ため息つかれた！結構、深いため息だぞ？！こんにゃろ！

〈いいか？よく聞けよ。〉
『……ストップ！！それは聞かなくていいっていう嘘ですか？』
〈違う。お前、黙ってろ。喋んな。〉
『はい。』

……酷くない？もっと丁寧に扱ってよ！

〈今から言う事が嘘だ。いいな？〉
『はい。』

喋んなって言われたのに、喋っちゃったなんて馬鹿な事を考えていると、神田くんからとんでもない言葉が……

〈Aが嫌いだ。〉

エイプリルフールに言うなんて…。恥ずかしがり屋？でも、私もそんな神田くんが嫌いです。

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