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そうこうしているうちに話し合いは終わったようで、藤倉はそそくさと自室に戻って行った。
「お茶くらい飲んで行けばいいのに…。」
呂太が所在なさげに置かれた茶器を見つめて呟く。
「藤倉さんも忙しいんだよ。」
樹里が苦笑いしてフォローする。
「さてと、俺は定時なのでそろそろ退勤します。樹里ちゃんはどうする？」
木島が自身の腕時計を見ながら樹里に問いかける。
「はい。わたしも帰ります。直帰でいいですよね、先生？」
そんな彼に笑顔で答えた樹里は、律儀に早月にも確認を取った。
「もちろんよ。ゆっくり休みなさいね。」
あまりにも自然な流れに早月は微笑んで頷く。
「ありがとうございます。お先に失礼します。」
「失礼します。」
樹里に続いて木島も科捜研を後にした。
「出遅れちゃったわね。」
早月が苦笑いしながら蒲原の肩を叩く。
「入り込む隙がありませんでした…。」
「先輩の人当たりの良さは天才級ですからね。」
項垂れる蒲原に亜美が木島には他意がないことを強調する。
(彼の想いが届くのはいつの日か…。)
科捜研の中に何とも言えない空気が広がったのは言うまでもなかった。
―ＥＮＤ―
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作者名：kanade | 作成日時：2022年8月27日 17時
