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命令5 ページ30

sideシンタロー

午後11時24分。
オレは美空を屋上に呼び出した。

美空「何か用?」

今回の命令は、誰も従わなかった。
つまり、全滅だ。

全員が、王様からの罰を待っている。
だけどオレは、罰を受ける強さがない。

だから。

シン「オレを殺せ」
美空「……は?」
シン「そしたらお前は死ななくて済む」

オレは、罰を受けずに済む。
一石二鳥だ。

美空「……本気?」
シン「当たり前だろ」

王様の罰で死ぬぐらいなら、美空に殺された方がマシだ。

そしてオレは、屋上の策に座る。
あのときの実優のように。

美空「ここから落とせって?」
シン「ああ」
美空「死ねないかもよ?」
シン「ここから落ちて実優は死んだ」

この下は海で、大きな岩が海面から覗いている。
あの上に落ちれば即死だろう。

美空「……罪悪感」
シン「悪い」
美空「いいよ別に。今さら人殺しになりたくないなんて言わないし。何回殺してきたと思ってるの」

そう。
すでに美空は何人も殺している。
だから美空に頼んでいる。

美空「後から怒らないでよね」
シン「そんなことしねーよ」
美空「あっそ。じゃあ、私も後悔しないようにするよ」

そう言って美空は、オレの体を強く押した。

視界が傾き、急降下していく。
……いや、言うほど急でもない。

死ぬ前に見るという走馬灯。
そんなもの、本当にあるのかと疑ってしまうほど、オレの視界には広大な海しか映らない。

だけど、一瞬。
一瞬だけ、モモとアヤノと美空と、実優の笑顔を思い出した気がした。

次に目が覚めたら、新しいゲームが始まる。
そしたらオレは、どうすればいいのか。

モモに、アヤノに、美空に、実優に、どんな顔で会えばいい?

シン「はっ……」

無意識のうちに笑いが溢れる。

考えたって仕方ない。
成り行きに任せるしかない。

そういう生き方も、案外楽しいのかもしれない。
そんな大事なことを、こんなゲームで気づかされるのもまた皮肉なことだ。

そんなことを考えながら、オレの体は、大きな岩に激突した。

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浅葱(プロフ) - 野いちごストロベリーさん» ありがとうございます。頑張ります。 (2017年8月3日 23時) (レス) id: a8ce9eb597 (このIDを非表示/違反報告)
野いちごストロベリー(プロフ) - いつも見させてもらってます!とても面白いです!これからも頑張ってください! (2017年8月3日 22時) (レス) id: d483f2088d (このIDを非表示/違反報告)
浅葱(プロフ) - snow rabbitさん» うん、頑張る (2017年8月3日 22時) (レス) id: a8ce9eb597 (このIDを非表示/違反報告)
snow rabbit(プロフ) - やった!新作だ!!更新頑張ってね〜! (2017年6月28日 18時) (レス) id: c06f65bcb5 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:浅葱 | 作者ホームページ:   
作成日時:2017年6月28日 17時

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