王様ゲーム【カゲプロ】 (ページ15)

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命令２ページ15

sideシンタロー

セト「は……？何すか、それ……」

実優の左手には、いつの間にか大きな鎌が握られていた。

実優「一般的な想像上の死神が持ってるやつね。あんたが斬首を望んだのよ」
セト「……本気、っすか……」
実優「当たり前じゃない。私だって怒るときは怒るわ」

いつもと口調が違う。
本気で怒っているのだろう。

セト「俺を殺したら、全員から信頼失うっすよ」
実優「だから？今のあんたの方がよっぽど信頼ないと思うけど」

正論。
確かに今のセトは信頼し難い。

実優「それに、信頼なんてもともとないわよ」

……それは、どうなんだろう。
オレは、実優を信頼してるんだろうか。

セト「でもまあ、こっちにも策はあるんすよ」

セトは美空の背後に回り、首元にナイフを当てた。
要するに、美空を人質にした。

実優「……美空……」
美空「何その同情したような目。何とも思ってないくせに」
実優「うん、思ってない」

思ってないのかよ……。

実優「でもまあ、美空は殺させないわよ。あんたが美空を殺したら、私はあんたを殺すから」

……何でだ？
人狼ゲームのときは美空に投票してたのに、何で実優は、美空に死んでほしくない？

実優「打開策が見つからないし、悪いけど今回は方法を変えるわ」

実優が持っていた大鎌は、一丁の銃に変化した。

実優「銃殺しかないのよ。それが嫌なら美空を離して？」
セト「好きにすればいいっすよ。最悪、美空さんを盾にするんで」
実優「無理ね。私を舐めない方がいいわ」

実優は、銃をセトに向けた。
瞬間、発砲音が鳴る。

さすがにセトも反応しきれず、銃弾はセトの右肩を貫通した。

セト「……っ！」

痛みで手からナイフが落ちる。
貫通しようが何しようが、実優が手加減するはずはない。

躊躇なく次の弾は撃たれ、見事にセトの心臓を貫いた。

美空「うわ、ほんとに死ん――」
「きゃああああああ！！！」

誰かの悲鳴。
いや、誰かじゃない。

この空間で悲鳴をあげるのなんて１人しかいない。

モモ「な、に、これ……」
美空「モモ……」
実優「起きたんだ。やっぱ銃はうるさいか」

セトを殺しておいて、よくそんなことが言える。
オレの視線に気づいたのか、実優はこっちを向いた。

実優「何？幸助を殺しておいてすごい神経してるなって？」
シン「……お前、人の心読めんの？」
実優「顔に書いてある」

眼鏡の奥で、若干憂いを帯びた目をしてたのは、気づいてないことにしよう。