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幸助が孤児院に来たのは、私が入った少し後。

瀬戸幸助。赤い目。人の心を盗みとれる。

どこから発生したのかも分からない、そんな噂で、私は幸助を知った。

『最近来た子でしょ?ただの噂だよね〜』

友達はそう言ったけど、私にはそうは思えなかった。


__あの子も私と同じかもしれない


そう考えたら、あの時、飛び出さずにはいられなかった。


『目が赤くなるんだろ?見せて見ろよ!』

『化け物!』

『気持ち悪っ!!』

そんな、暴言と共に激しく繰り出される暴力。

セト「ご、ごめんなさ……うぐっ……」

三人からの攻撃に、涙を流しながら耐えるその子、幸助を見たときには、ひどく衝撃を受けた。

痛みに耐えるのは、簡単じゃない。でも……いつも自分から痛みを感じている私なら、痛みなんて平気なはず。


それなら……それなら、私が身代わりになっても、問題ない……?

「……あのさぁっ!!」

『お前、何だよ!』

『ヒーロー気取りか?』

『同じ目に遭いたいのかもよ?』


「それ、楽しいの?」

『はぁ?何だよ、仲間に入りてぇのか?』

「んな訳ないじゃんっ!何してんのさ!」

『知らないのか?こいつ、化け物なんだぜ?』

セト「ひいぃっ……」


化け物、か。それなら、お揃いじゃん。

『こんな化け物、いない方がいいんだよ!』

そいつは、そう言うと、また拳を振り上げた。


ゴンッ!

鈍い音。ただ、これは幸助が殴られた音じゃない。

『いってぇ…!何すんだよっ!!』

私が、男の子に殴りかかった音。


「うぐっ……」

鳩尾に痛みを感じて倒れこむ。

殴られ、蹴られ、暴言を吐かれる。


幸助は、これに毎日耐えていたのか。

座り込んでいる幸助の背中を押して、無理矢理逃がす。三人は、幸助にはもう興味をなくしたかの様に、目線も送らなかった。

その代わり、三人が見るのは、私。

耐えられる、なんて言ったが、痛みを感じない訳ではない。

ただ、涙だけは絶対に溢したくなかった。泣いたら負けた気がして嫌だ。それだけを考えていた。


ただ、いつもと同じようで、全く違う痛みを感じていた。

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作者名:夜桜
作成日時:2017年10月15日 23時

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