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『小娘、よく来たな』
何処からか聞こえる蛇の舌舐めずりのような声で目を覚ました。
そこには、ただ白く、それでいて黒い、形容のしようがない空間が広がっていた。
「ここは……?」
誰なのかも分からない声に向かって話しかける。
私は何をしていただろうか。確か……
そこまで考えた所で、事実に気付く。
私は、あの時……死んだんだ。
『小娘、お前は生きたいか?』
「そんなのっ…」
生きたくなんてない。だから私はこの道を選んだんだ。
「生きたくなんてない」
そう、はっきりと言う。
『お前っ、本当にそれでいいのか?』
さっきまでとは別の、女の人の声が私に問いかける。
「うん。」
『何で…そんな事っ……』
「うわぁっ!?」
先程まで何もなかった空間に、突然小柄な女の人が現れた。
『自分から出会いを捨てるような真似していいのか…?』
感情移入し悲しそうな表情をされても困る。
「別に私は…」
『分からないか?お前の未来の仲間の存在が。』
「分かる訳ないよっ…仲間なんて…いるわけないじゃん」
『そうだな…それじゃあ……好きな時だけ生きられる…姿を表せる、と言ったらどうだ?』
好きな時だけ…生きられる…?姿を、表せる…?
つまりそれは……
「自由にできる…?」
『そうだ。お前に能力をやろう。少し特殊な能力だからな、向こうの世界からも、こちらの世界からも、本当のお前は消えてしまうがな。』
「えっ、能力って、その_」
___目を表せ、小娘
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作者名:夜桜
作成日時:2017年10月15日 23時