還り咲く心月【イナズマイレブンGO】 (ページ7)

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第6話ページ7

『あのー、イシドさん。やっぱり自力で歩けますし、入院まではしなくてもいいんじゃ…』

「ダメだ。何度言ったらわかる。あと私のことはシュウジさん、とでも呼んでくれ。その呼び方は落ち着かない」

『は、はぁ…。わかりました』

　翌日の午後三時頃。病室に現れたイシ…、シュウジさんはお見舞い品だ、と言ってたくさん果実が入ったバスケットを持ってきてくれた。

　一人で全部食べるには量が多すぎて、食べ切る前にフルーツが腐っちゃいそう…ま、まぁ有難く早めに食べよう。

　
　そういえば昨日はバタバタしていて両親の存在をすっかり忘れていた。両親は私が家に帰ってこないから心配していると思う。

　足怪我した事とか、何かに追われてて身を隠す…？ためにシュウジさんにお世話になる事とか、諸々親に伝えなきゃいけないし。

　バスケットに入っていたバナナを二つもぎ取る。やっぱり量が多いのでバナナを一本シュウジさんに渡してその場で食べてもらうことにした。

　私はバナナを一口噛んで飲み込んだ後にシュウジさんに声をかける。
　

『シュウジさん、両親が心配してると思うので連絡をしたいと思うのですがー…』

「…………」

『……シュウジさん？』

「そのこと…なんだが…その」

　もごもご、とバナナを食べながら喋りにくそうにしている。

　首を傾げて次の言葉を待っていると、シュウジさんはゴクンと飲み込んだ後に、少し言いづらそうに顔を逸らしながら小さな声で告げた。

「あの男の話によると…天羽はその…いわゆる異世界転移をしたらしい。だから天羽の両親と連絡がとれない。すまない。」

　『……え？』

　驚きのあまりに手に持っていた食べかけのバナナを布団の上に落としてしまった。

　異世界転移…？親と連絡がとれない…？その言葉がぐるぐると脳内を回る。
　

『ま、まさかぁー…そんなわけ…』

「私も俄に信じがたいが…あの男が言うのであれば本当だろう。」

　アニメや小説でよく見る異世界転移物は、空想のお話だ。現実で起きるわけがない。

　でも、確かに言われてみれば昨日の不思議な現象と辻褄が合う。突然聞こえてきた男の子の声とか、時空ホールの存在とか、虹色の無重力空間とか。黒スーツ集団は…ちょっとよくわかんないけど。

　あ、そうだスマホ！

　持ってきていたスクールカバンに手を入れて探るとコツン、と固い感触が手にあたった。スマホを取り出して起動してみると、左上に″圏外″の文字が映し出されていた。