還り咲く心月【イナズマイレブンGO】 (ページ6)

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第5話ページ6

男性は何かを書き記した数枚の書類を赤スーツの人に渡した。書類にざっと目を通した赤スーツの人は頷いて「任せろ」と力強く言った。

「あとこの子、足を怪我しているので治療してあげてください。よろしくお願いします」

　
　それだけを言い残して、私を降ろしてここを去ろうとするヘルメットの男性にまだお礼を言ってないことに気付いて、後ろ姿に慌てて声をかけた。

　
『あ、あの！』

「？」

『助けてくれてありがとうございました！』

「あぁ…わざわざお礼を言うなんて、良い子だね。こちらこそ色々とありがとう。君が少しでも幸せに過ごせることを願うよ」

　それじゃ、また。そう言った男性を見つめると、ヘルメット越しでもわかる優しい目をしていた。

　ヘルメットの男性が去った後、男性が出て行った大きな扉をじっと見つめていた。

　とても優しい人だった。あの時空ホールに入って、と言って助けてくれた男の子の声と関係のある人物なんだろうか…よくわからないままついてきちゃったけど、私が追いかけられてたのを何故か知っててここに預けてくれたし、信じてもいい…よね？

　あ、そういえば名前聞きそびれちゃった…！

　自分の不甲斐なさに少しショックを受けていると、赤スーツの人がコホンと咳払いをしたことにより、自分の考えに夢中で赤スーツの存在を忘れかけていた事に気付いた。慌てて前に向き直る。

『えっと、よろしくお願いします。お世話になる天羽Aです』

「私はイシドシュウジだ。まずはその足をなんとかしなければな。早速だが入院してもらう」

　唐突な入院、という単語が出てきて驚いた。確かにさっきの男の人は治療してあげて、とは言ってたけど入院させろとは言っていなかったはず。
　

『このくらいの怪我は入院までしなくても…一応歩けますし…』

「いや、ダメだ。腫れているだろう。療養も兼ねて心も休めると良い。」

『は、はぁ…。』

　

　
　それから有無を言わさず、私は稲妻中央病院、というところにぶち込まれた。

　怪我したところから炎症が起きてはいたものの、整形外科で「うん、二週間だね。」とだけ一言の診察結果を下されて、個室部屋に強制的に押し込められた。

　とは言っても、壁を伝えば歩けるし、入院する意味なんてないんじゃないかと思うのだけれど。ふかふかの布団に包まりながら、私はこれからどうやって過ごしていくのか、先の見えない未来に不安を感じながら眠りについた。