刀剣乱舞 -私はブラック審神者らしい- (二)

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…





｢ありゃ、三日月様は？｣
｢自分の部屋に戻ると言って、先程｣
｢そっかあ、…お腹空いてないと良いんだけど｣


松田さんへの連絡を終えて、一期一振さんと五虎退さんを布団に寝かせてくれた二人にお礼を言った後、べたり、と張り付くような気持ち悪い汗に気付いて、先にシャワーを浴びさせてもらった。

上がったら、大したものは作れなくても、こんちゃんと三日月様と一緒にご飯にしようと思ってたのに、戸を開けたそこには三日月様はもういなかった。


｢刀剣男士さん達って、各々の部屋があるの？｣
｢はい。普通は刀派や兄弟、過去同じ主の元にあった者達同士で、部屋を共有しております。詳しくは『本丸図解』をご覧になって頂ければ分かりますよ｣


濡れた髪にタオルをかぶせたまま、がさごそと冷蔵庫とバスケットの中を探る。んー…夕飯になりそうなのはお茶漬けセットぐらいだなあ。これチンしたら出来る米だけど、普通に炊く炊飯器あんのかなここ。

そう、もう夕方なんだ。朝からほんとに色々あった。三日月様が突然入ってきて斬られかけて、五虎退さん達手入れして、政府にここ任せるって言われて…。これが全部一日の中に凝縮してるってことが俄には信じられない。


｢こんちゃん、調理場とかってある？｣
｢ございますが、現在は酷く穢れておりまして、一度大きな掃除と、浄化が必要です。…今日は、主様さえ構わなければ、お休みになられた方が、｣
｢はは、うん、今日は休むよ。明日、このお部屋と、台所の掃除出来たら行こう｣
｢…はい！｣


未来版T-faLみたいな機械でお湯が湧くのを待ちながら、雑多に散らかった部屋を見回した。

うん、やっぱりあのぬいぐるみ達が怖いな、完全にあたしの趣味じゃないし、大事な物だったのか分かんないぐらい汚れてるのが1番怖く見せてる要素だわ。

ところどころに散らかってるゴミも、きちんと明日片付けよう。


｢こんちゃーん、今日の夕飯お茶漬けと、和菓子だけでも良い？｣
｢わ、私めに、…っ、いえ、あ、ありがとうございます…！｣
｢うんうん｣


ちょっとずつ。ちょっとずつ進めよう。


｢いただきまーす｣
｢いただきまする…！｣


ふうふう、と熱過ぎないように息を吹きかけたそれをちっちゃいスプーンでこんちゃんに持ってく。うん、あーんというやつだ！こんちゃんは照れ臭そうに少しずつ食べてて癒される。うんやっぱほんと可愛い！


｢美味しいね｣
｢…はい｣


こんちゃんと目が合って微笑んだ。

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