【ハリポタ】悪あがきでもしようかとⅣ (ページ10)

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第150話　ほのかな光を見たページ10

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「ここ、いい場所ですね。風が良い塩梅で吹いて涼しくて、人もそう多くないし、読書にはぴったりですね」

「…なんだお前は」

「レギュラス・ブラックと申します。セブルス先輩ですよね？」

「そうだが」

そんなことは聞いちゃいないし、そもそも名前くらい知っている。セブルスは目の前の後輩にただただ懐疑心しか持てなかった。

詐欺師を連想させるようなにこやかな笑み、貴族らしからぬ距離の詰め方、何より異様なのは自分に話しかける目的が不明瞭なまま、いつ終わるかも分からない取り留めのない話をされているこの状況そのものだ。

「それにしても、本当にいい場所ですね。また来てもいいですか？」

「…何故それを僕に聞くんだ。自分の行動くらい好きにすればいいだろう」

それを聞いてレギュラスは、電球のように顔を綻ばせた後、ニンマリと口元を緩めた。純血貴族の中でも王族に値するブラック家の次男がする顔ではない。その表情があまりにも年相応で、セブルスはレギュラスへの警戒を少しだけ緩めた。そして、その空いたところに新しく不審感が生じた。

「え？え？いいんですか？」

「なんだその反応、馬鹿にしてるのか」

「いえ、てっきり断られるかと思ったので。だってここにはA先輩も来るんでしょう？」

セブルスは、その台詞でこの不可解な状況に至った経緯の筋がなんとなく通った。

ああ、なるほど、あいつか。

「僕の居場所をお前に教えたのはAか。Aといつの間にそんなに距離を縮めた？」

あいつの警戒心は一度持たれると、それを解くのに随分と時間と胆力を要する。

それをただの後輩がやってのけるとは到底思えない。

「ちょっと色々ありまして」

「は？おい、色々ってなんだ」

「色々は色々ですよ。………あの人、何なんですか」

セブルスは首を傾げた。答えようにも質問の意図がわからない。そのまま静観していると再びレギュラスは口を切る。

「少し、A先輩と話をしたんです。話をして……その、なんというか、こう言っては変に思われるかもしれませんが、あの人も、人間だったのだなと思いました」

レギュラスは、A・Aによって作られた仮面しか知らなかった。冷たくて、実家に縛られた人形だと、自分と同じだと思っていたのだ。

だが実際はどうだ。あの目は、ここで腐るままでは終わらない。決して燻り続けない。そんな希望を自分に抱かせた。

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