7話 ページ8
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結局、昨日は早々にお開きとなった。
いくら言っても来栖くんはぼーっとしてるだけだったからだ。
「先生」
朝。
春の青空を背景に、光が教室に差している。
光に包まれた教室は、雰囲気も明るくなって、
とても清々しい。
天気は空気すら変える。
そんな中、朝からどんよりとした声が響いた。
「これ」
来栖くんは、手を差し出してきた。
そしてそこには＿＿プリント。
まさかと思った。
「あぁ、ありがとう……。これ……」
どうせ白紙で、評価0にしてください！なんて言いに来ると思ったからだ。
「え……、すごいじゃない。
これ、昨日家で一人でやったの？」
「まぁ……」
＿＿
それでも、適当にやったんじゃないの？
信じないのは教師としてよくないけれど、
拭っても拭いきれない疑い。
だから、授業のない休憩時間、職員室でしっかりチェックすることにした。
ぱっと見きれいな字でまとめられているレポート。
期待を込めて、その細部に目をやった。
「ふ〜ん……やればできるじゃん」
他の生徒よりもしっかりまとめられていて、
女子みたいに変な記号もカラフルな色遣いもなくて、
遅れたとはいえ、いい出来、それ意外に言葉が出てこない。
でも、素晴らしくても提出期限は守れてないんだから、5……にはならない。
でも……
「やればできるじゃん」
自然と口から出た2回目の言葉は、さっきよりも手応えのある言葉だった。
「先生、さっきから独り言ぶつぶつ言って、どうかしたんですか？」
不意に、正面に座っていた若い先生に声をかけられた。
「あっ、いえ、すみません、なんでもありません」
「そっか。困ったことがあったらなんでも相談してね」
なによ、先輩面して。
私と大して歳変わらないくせに！
……っていうのは飲み込んで、営業スマイルで答えた。
「はい、頼りになります！ありがとうございます！」
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作者名：くしこゆ | 作成日時：2021年4月5日 15時
