25話 ページ25
Aも退院し、療養という形で実弥の屋敷や自分の屋敷を転々としていた。
そうして、炭治郎たちが任務を再開するその日。
Aは準備を整えると、門で見送ってくれてる実弥と向き合う。
「今回の任務に、煉獄が向かってる」
『おっと、彼、引き強いね』
「A……」
『……実弥、もしもの事があった時には、私の屋敷にあるもの、私の師範とあなたの二人で受け取って』
「縁起でもねぇこと言ってんじゃねェ」
実弥はAを抱きしめる。
力強い抱擁に、Aも返す。
「必ず帰ってこい、ここに」
『……』
「返事はァ?」
『……実弥、愛してる』
Aの言葉に、実弥は首を振った。
「やめろォ、それは別れの言葉みたいなもんじゃねェかァ!!」
『生きて帰って来れるように、私と煉獄も尽力を尽くす!
けど、いつ死ぬか分からない場所で私たちは生きてるんだよ、実弥』
「……頼む、A。
約束しろ」
『……』
「生きて帰ってくるって」
『うん……』
Aが頷くと、実弥は安堵の息を吐いて放した。
今のAは、あの時と違って冷たくもなければ、血も流していない。
二人で血まみれなのではなく、自身の知らないところで、Aが冷たくなる。
その恐怖が消え去ってはくれなかった。
「A、あの日、血塗れのテメェを見て、後悔しねぇように伝えようと思った」
『何を?』
二人の間に沈黙が流れた。
そんな時、優しい風が吹いて、実弥は口を開く。
「好きだ、A」
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作者名:やぁと | 作成日時:2021年10月19日 21時