26話 ページ26
――好きだ、A。
そう言った彼の言葉が頭の中で繰り返される。
駅に着いたAは、三人を見た。
『やぁ、炭治郎くん!
無事に合流出来て良かったよ』
「Aさん!」
炭治郎はAに駆け寄り、善逸と伊之助も走ってきた。
善逸はAを見て驚いた。
それはそうだろう、隊服を着けてはいるものの、前は全開で丈は短く、下はさらしで胸に巻いているのみ。
刺激が強い。
『どうしたの?』
「お姉さん結婚しませんか?」
『……あっはっはっはっはっ!』
「コラ善逸!!」
Aが笑う横で、善逸を止める炭治郎。
伊之助は刀を握ってAを見た。
「お前!俺様と勝負しろ!!」
『わぁお、いきなりだねぇ、君も。
面白い』
「伊之助もやめるんだ!
すみませんAさん、本当すみません」
『いいよいいよ、全然。
面白いし』
Aは笑っていた。
周りにいない類の個性に、興味が湧く。
Aは笑いながら駅に入っていく。
『今から任務だけど、しばらくは私と一緒に動いてね。
それじゃ、切符を買って構内に行こうか』
「え、切符?」
Aは御館様から聞いていた彼の育ちを思い出して苦笑した。
それからというのも、田舎育ちの炭治郎、野生育ちの伊之助に、都会育ちのAと善逸があれこれ教えながら、どうにか構内に入れた。
だが、そこからがまた問題で。
「こいつはアレだぜ、この土地の主……この土地を統べる者」
『伊之助くん?』
「この長さ、威圧感、間違いねぇ。
今は眠ってるようだが油断するな!!」
汽車を見たことがない伊之助が警戒して力んだのだ。
Aはそんな様子の彼にまた苦笑い。
「いや汽車だよ、知らねえのかよ」
「シッ!!落ち着け!!」
「いやお前が落ち着けよ」
「まず俺が一番に攻め込む」
『え、ちょいちょい、お兄さん?』
黙って聞いていたらすごい展開が繰り広げられ、Aが止めようとする。
が、黙って見ていた炭治郎が、
「この土地の守り神かもしれないだろう!
それから、急に攻撃するのも良くない!」
と天然発言するのでAは吹き出すのを堪えた。
「いや汽車だって言ってるじゃんか!
列車わかる?乗り物なの、人を運ぶ!
この田舎者が」
「?列車?じゃあ鴉が言ってたのがこれか?」
「鴉が?」
ダメだ、この三人は、面白すぎる。
Aはそんな三人を見て、そう思った。
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作者名:やぁと | 作成日時:2021年10月19日 21時