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第十章〜君の名は?〜 ページ38

その時、?は百合の目頭がもっと赤くなっているのと唇が震えているのに気が付いた。
だが、?は百合に何も言わず百合から話し出すのを待った。
?は真っ直ぐ百合を見つめる。
やがて、百合は下を向いていた顔をゆっくりと上げた。
そして、泣いている訳を?に話す。

チビ百合『実はね…』

?『うん…』

ゆっくり、ゆっくりと焦らず、話す。

チビ百合『父上がね…』

?『うん』

自分で話していて涙が込み上げてきた。

チビ百合『勝手にね。…私の部屋に入って来たの』

?『う、ん』

?は一瞬言葉を詰まらせそうになった。
と、同時に目を丸くした。
百合は先程まで落ち着いていたのに急に怒りだした。

チビ百合『酷いと思わない!?年頃の娘の部屋に勝手に入って来るなんてさ!』

百合は立ち上がり、雲ひとつない晴天に向かって大声で叫んだ。

?『ま、まぁ、それもそうね』

確かに…と?は一つ頷いた。
?はでも、と言葉を紡ぐ。

?『でも、それって貴女を心配して来てくれたんじゃないの?』

そう言って、?は首を傾かせた。

チビ百合『それは…そうかもしれないけど、でも!心配させるような事はこれっぽっち…‥も』

ある。言葉を全部言い切ろうとした時に唐突に思い出した。
一週間程前から徹夜して頭領として認めて貰えるように勉強していたのだ。
突然言葉を詰まらせた、百合の様子から?は読
み取った。

?『あるようね…』

チビ百合『はい…』

これには流石の百合も認める。

?『じゃあ、そういう事だから』

?は腰をかけていた石から立ち上がると、百合に向き直った。

?『お父さんと、仲直りしなさい』

百合の右肩にポンと手を置いた。
それから、すうっと真っ直ぐ人差し指で指す。

?『ほら、来たみたいよ』

その時、自分を呼ぶ声がした。

父『百合ー!どこだ、百合ーー‼︎』

チビ百合『父上!』

少女は父を呼んだ。

?『よかったね』

今度は後ろで声がした。振り返る。
その時、風が吹いた。
そこに先程まであったあの子の姿は無かった。
でも、あの子が消える寸前。

__________また、会おうね。

そんな声が聞こえた気がした。

第十章〜人肌が恋しい〜→←あの人は変わった【過去編・番外編7】



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作者名:如月輝夜 | 作成日時:2016年9月16日 21時

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