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あの人は変わった【過去編・番外編7】 ページ37

椿「!」

ハッとしたように顔を上げた椿。
それに気付いた雪は、慌てて椿を庇う。

雪「違います!この子は、悪く無いのです!悪いのは全て私なのです!」

椿を背に庇いながら、いう。
すると、雪はポロポロと透明の雫を落とした。

百合「罪をやれば、其れを償わないといけないという事は分かっているな?」

雪は眼に溜まった涙を拭いて顔を上げる。

椿「お前、雪お姉様に何させる気!?」

椿はキッと、百合を睨めつけた。

百合「落ち着け。別に変な事は何もしない」

その言葉に、合わせるように腕を上下に動かせて見せた。

百合「その、罪をやった代償として俺に仕えろ」

衝撃的な、言葉が 発せられた。
その言葉に、二人は唖然とする。
百合は淡々と語り始めた。

百合「本来、鬼は罪を起こさない。起こしたとてもちゃんと償っている。だから、お前たちも俺に仕えて償え」

凄く正論な事を言っているような気もするがそうでない気もする。
雪と椿の心の中で思っていることが一致した。

百合「(なんか、二人の声が聞こえた気がする…)」

実際にそうでは無いのだが…
悩みに悩んだ挙句、雪は口を開いた。

雪「分かりました。貴女に、仕えます。それで、償えるのなら」

椿「私も 」

よし、と百合は一言頷いた。

百合「そうだ。お前たちの名前は?」

雪「私たちの」

椿「名前?」

百合「そうだ」

雪「私の名前は“鈴江雪“と申します」

椿「私の名前は“鈴江椿”って言います」

椿…雪…と

百合「覚えた!では、参るぞ!私の故郷へ!」

雪「え、今からですか?」

驚いた顔をする雪。

百合「当たり前だろ!」

椿「でも、まずは風間様に許可を取らないと…」

百合「許可?あ、良いって良いってそんなもん。俺が如何にかしとくから」

顔の横でヒラヒラと手を振る。

雪「は、はぁ〜」

雪は百合の言葉に渋々頷いた。

百合「さぁ、帰るぞ!」

沈みかけている夕日に向かって叫ぶ。
これが、百合と雪と椿の出会ったきっかけだった。



〜〜〜〜〜

雪「(それにしても、昔は随分と横暴だった百合様がいつの間にかあんな風になられて…百合様は変わられた。たったの二年で)」

雪「百合様は、変わられましたね」

洗濯物を干しながら言った。

百合「そうか?」

雪「えぇ。そうですよ」

昔のことを思い出して雪はクスクスと笑った。
えぇ、貴女は変わられました。百合様。
百合は天を仰いで空を見つめた。

百合「…‥そうかもな…」



あの人は変わった過去編・番外編end

第十章〜君の名は?〜→←あの人は変わった【過去編・番外編6】



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作者名:如月輝夜 | 作成日時:2016年9月16日 21時

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