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すぐ戻ってきたシンイチローの手にはタオルが1枚。
「お前また熱出すぞ」
そう言って私の前に膝立ちで立ち、少し乱暴気味に髪を拭くシンイチローにフッと口元が緩む。
幸い下を向いているため顔は見えないはずだ。
目を閉じてまた優しさに甘えることにした。
私は最低だ。
シンイチローの優しさと好意に甘えて、自分は何も答えないのだから。
答える資格もないのだけれど。
いっそシンイチローも最低だったらよかったのに。
「なんで俺が最低な方がいいんだよ」
『は？』
ガバッと顔を上げると驚いたような顔をしたシンイチローが目の前にいた。
「は？てお前今そう言ったろ」
『声に出てた？』
「おー」
そう呆れたように言って乱れた髪を直しつつ、タオルで優しく髪を拭くシンイチローは、で？と返事を催促した。
『え？』
「なんで俺が最低な方がいいんだよ」
『……』
黙り込む私に、言えよと両手で両頬を押さえて顔を潰してきた。
「ふっ」
『笑うな！』
ペシっと手を払って立ち上がり、ドライヤーをしに行く私の後ろからまだ笑い声が聞こえていた。
部屋へ戻ると、入れ替わるようにシンイチローがお風呂へ向かう。
部屋に残るシンイチローのタバコの匂いを吸い込み、ベッドに倒れ込んだ。
そこからもシンイチローの匂いがして少し速くなる鼓動を誤魔化すように、自分の荷物を漁りタバコに火をつける。
『…ほんと勘弁してほしい』
ベッドの横の窓を開けてふぅと吐き出した先に月を見つけた。
太陽の力を借りて輝く月をもっと見たくなり、電気を消す。
灰皿を窓際に置き、煙を吐く度ぼやける月を眺めていた。
お前も太陽が恋しいの？
手を伸ばせば届きそうな丸い月にそっとタバコを持ったまま右手を伸ばした。
パシっと後ろから手を掴まれてハッとする。
後ろからお腹に左腕を回して、伸ばした手を右手で掴むシンイチローを振り返る。
『ど、どうしたの？』
何も言わず肩に顔を埋めたシンイチローの濡れた髪が頬にかかる。
とりあえず未だ掴まれている手からタバコを灰皿の上に落とすと、ぎゅっと指を絡められた。
速くなった脈を悟られないように体を捩って離れようとするが、余計に左手に力を込められる。
『し、シンイチロー？』
「……月に帰ってしまうかと思った」
『なんだよそれ』
突拍子もないセリフにふはっと笑ってしまう。
「窓から飛び立ってもう帰って来ないような気がして…」
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玉兎(プロフ) - なるさん» はっ！！(*ﾟﾛﾟ)!! ありがとうございます！！✨✨ 頑張ります！！🥰 (2022年8月18日 12時) (
レス) id: 2cb29c266f (このIDを非表示/違反報告)
なる - やっぱりこのシリーズとっても面白い！！ これからも頑張ってください（＾_＾） (2022年8月18日 11時) (レス) @page25 id: 4373cfedf7 (このIDを非表示/違反報告)
玉兎(プロフ) - 久遠さん» いつも楽しみにしてくださって嬉しいです！ありがとうございます(⌯˃̶᷄ ⁻̫ ˂̶᷄⌯)✨✨ (2022年5月25日 21時) (レス) id: 99723d5af6 (このIDを非表示/違反報告)
久遠(プロフ) - 蘭ちゃんに一体何が…続きが気になります✨ (2022年5月25日 15時) (レス) @page48 id: d025dfcb18 (このIDを非表示/違反報告)
玉兎(プロフ) - 久遠さん» 久遠さんいつもありがとうございます！ かなり増えましたね笑 (楽しくてつい書き込んでしまった…) 5も引き続きよろしくお願いしますね♡(≧ω≦ ) (2022年5月24日 20時) (レス) id: 99723d5af6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：玉兎
| 作成日時：2022年5月14日 14時
