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『…優しさも、暖かさも好きなだけ利用して
不要になったら何の迷いもなく捨てることができるのに』
「え？」
『シンイチローが最低だったらいいと思った理由』
肩から上げたシンイチローの顔を振り向くことなく、握られた右手に少し力を込める。
「利用しろよ
お前のためならブラックドラゴンも使ってやる」
『それはダメでしょ
しかも月に帰るって、そもそも私月から来てないし』
再び肩に顔を埋めて、更にぎゅっと抱きしめて言うシンイチローの言葉にふふっと笑って返す。
「好きなだけ利用しろよ
お前のためならなんでもしてやる」
そんなマジな声に少し返事に困る。
こんな時いつもならなんて返してたっけ。
『……じゃぁ、仏の御石の鉢と、火鼠の皮衣と、龍の首の珠と、蓬莱の玉の枝と、燕の子安貝を持ってきて』
「月に帰る気満々じゃねぇかよ
しかもそれ1人に頼むやつじゃないんだわ」
少しいつもの調子に戻ったシンイチローの声にホッとする。
『なんでもするんでしょ？』
そう言いながら振り向いたすぐそこにシンイチローの顔があって、あ。と思った時には唇が重なっていた。
ぽふっと優しく倒される体にシンイチローの重みが伝わる。
「…A好きだ
俺の女になって」
触れていた唇を少し離して真剣な顔で言うシンイチローに、目を閉じて首を横に振った。
『……なれない』
「嫌、じゃなくて、なれない？」
今までと違う返事に聞き返すシンイチローの頬にそっと手を添えて、少し熱を含む真っ黒な瞳を見つめた。
『夜に太陽は存在しないもの』
わからないと言う風に少し首を傾けたシンイチローに少し微笑む。
『きっと酔ってるのよ』
「アレくらいじゃ酔わねぇよ」
チラッとさっき飲んでいたビールの缶を見て言うシンイチローにもう一度首を横に振る。
『ううん、酔ってる
そう言って
じゃないと何の言い訳もできないじゃない』
3度目のキスは私から。
レモンなんてとっくにわからなくて、ただあるのは
幸福感と、少しの罪悪感だけ。
布の擦れる音と、お互いの息遣いだけが聞こえる暗い部屋の中に、消し忘れた煙の匂いがした。
タールの少し多い匂いと、甘みを含んだタバコ匂いが混ざり合い、カーテンの開いた窓から差し込む月明かりに照らされながらひとつの香りになった。
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玉兎(プロフ) - なるさん» はっ！！(*ﾟﾛﾟ)!! ありがとうございます！！✨✨ 頑張ります！！🥰 (2022年8月18日 12時) (
レス) id: 2cb29c266f (このIDを非表示/違反報告)
なる - やっぱりこのシリーズとっても面白い！！ これからも頑張ってください（＾_＾） (2022年8月18日 11時) (レス) @page25 id: 4373cfedf7 (このIDを非表示/違反報告)
玉兎(プロフ) - 久遠さん» いつも楽しみにしてくださって嬉しいです！ありがとうございます(⌯˃̶᷄ ⁻̫ ˂̶᷄⌯)✨✨ (2022年5月25日 21時) (レス) id: 99723d5af6 (このIDを非表示/違反報告)
久遠(プロフ) - 蘭ちゃんに一体何が…続きが気になります✨ (2022年5月25日 15時) (レス) @page48 id: d025dfcb18 (このIDを非表示/違反報告)
玉兎(プロフ) - 久遠さん» 久遠さんいつもありがとうございます！ かなり増えましたね笑 (楽しくてつい書き込んでしまった…) 5も引き続きよろしくお願いしますね♡(≧ω≦ ) (2022年5月24日 20時) (レス) id: 99723d5af6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：玉兎
| 作成日時：2022年5月14日 14時
