173針 ページ33
「さて、というわけで君はしばらく絶対安静だ。
くれぐれも、くれぐれも抜け出したりしないようにね」
『(二回言った……)』
カルテを再び手に取り、にこりとAを見下ろす森は、まさに医者としての風格を感じさせる。
「探偵社のことは一時的に我々に任せたまえ」
『あ、その事なんですが…』
部屋をあとにしようとする森を呼び止めるA。
『ヘリ、もういつでも出す準備は出来ているのでしょう？
そこに、中也くんを乗せた方がいいですよ』
「俺？」
寝たままのAは中原に視線を向けた。
突然、自分の名前が出てきたことに、僅かに驚く中原。
「ほう？それは何故？」
『既に《猟犬》は国木田さん達を追っているでしょう。
国木田さん達も抵抗はするでしょうが、真正面から戦っても勝ち目はない。
そこでマフィアの力を借りるわけですが…普通の構成員じゃ手も足も出ないことは明白です。
なら、マフィア側も強力な手札を出すことをお勧めします。
ヘリ一台、無駄にはしたくないでしょう？』
目を細めて笑うAの雰囲気に、森と中原は懐かしさを感じる。
四年前、参謀としてマフィアに多大な利益を貢献してきたA。
当時の雰囲気がその身に漂っていた。
懐かしさと共に、時々Aから感じていた底知れない恐怖も思い出していた。
四年前、十五歳という幼さで多数の部下を指揮し、時に戦場で多くの死体を作りだしたA。
幼さとはかけ離れた、恐ろしい程に落ち着いている大人びた雰囲気。
見た目とその雰囲気の差に、構成員をはじめ、紅葉や森、中原そして太宰も、Aに言いようのない恐怖を感じることは多くあった。
『まあ、あくまで提案なので、実行するか否かはそちら側にお任せします』
「いや、元参謀のAちゃんの助言だ。
有難く聞いておくよ」
森は顎に手を当てて少し考えると、中原に視線を移して命令する。
「中也くん、今云った通りだ。
ヘリに乗って探偵社員の元に向かってくれ。
救出方法は君に一任するよ」
「御意」
それでは、と森は改めてAに笑いかけてから部屋を去っていった。
部屋に残されたAと中原。
『中也くん、″鉛の雨″……覚えてる？』
不意に、ポツリと呟かれた言葉はあまりにも小さすぎて、危うく中原は聴き逃しそうになる。
「……久しぶりに聞いたぜ、その作戦暗号」
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jumpcontrolbear(プロフ) - 砂漠のうさぎさん» コメントありがとうございます！なんと！！私の知らないところでこの作品の名前が上がっていたんですね！嬉しい限りです！！更新ゆっくりですが頑張っていきます！ありがとうございます！ (2019年10月21日 0時) (
レス) id: 34857aaa52 (このIDを非表示/違反報告)
砂漠のうさぎ(プロフ) - あるユーザーさんの紹介から飛んできて一気読みしました。原作の雰囲気を崩さないで新しいキャラが動いていて凄いと思いました。話の展開とか言葉のチョイスとかとても好みです…更新楽しみにしてます、頑張ってください！長文失礼しました (2019年10月20日 21時) (レス) id: ad3e66ea3f (このIDを非表示/違反報告)
jumpcontrolbear(プロフ) - 桜さん» コメントありがとうございます！！あけましておめでとうございます！！また動くみんなを見ることが出来ますね！相変わらずの亀さん更新ですがよろしくお願いします！ (2019年1月5日 23時) (レス) id: 10ce31b7ea (このIDを非表示/違反報告)
桜 - あけおめです！今年ほ更新頑張ってください！作者さん文スト3期4月放送ですよ！来ましたよ！！いろいろと大変かもれませんが頑張ってください！ (2019年1月5日 1時) (レス) id: c482d4ca60 (このIDを非表示/違反報告)
jumpcontrolbear(プロフ) - 桜さん» コメントありがとうございます！！番外編も読んでくださったんですね…(感涙)楽しんでもらえてなによりです！！亀更新ですが頑張りますので気長にお待ちいただけると嬉しいです！ (2018年11月22日 9時) (レス) id: 10ce31b7ea (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：だし丸 | 作成日時：2017年8月31日 11時
