172針 ページ32
「おや、そこまで読まれているとは」
楽しそうにクスリと笑う森。
それに対し、Aはつまらなそうな表情を浮かべていた。
『私も最近調べたことでしたが…真逆、貴方と与謝野さんに繋がりがあったとは……。
やっぱり世間は狭いですねぇ』
「奇妙なことばかり起きるものさ。
さて…話を戻そうか。
確かに私は君の社長から連絡を受け、交渉は成立している。
これに関して君から何か意見は?」
『何も』
Aは枕に乗せたまま頭を横に振る。
「宜しい。
では、我々マフィアと君″個人″との交渉だが…どうしようかねェ…?」
わざとしく口元に手を当てて悩む素振りをする森に、Aは眉を寄せた。
『…お巫山戯ですね。
既に答えなんか決まっているでしょう?
もう心構えは出来ていますから、遠慮なく云って下さって結構です』
ふん、と鼻を鳴らすAを宥めるように森は優しい笑顔を浮かべた。
「そんなに急かさないでくれ給え。
″なんでも″なんて云われてしまえば、より我々に有利な答えを出すのが組織の長として必要だろう?」
『さすが合理主義の権化です』
「ふむ……それでは……君のマフィア移籍、なんてどうかな?」
やっぱり。
Aの顔にはそんな文字が浮かびそうなほど、全てを割り切った表情をする。
『それでこの借りが返せるのなら──』
「いや、やはりそれはやめておこう」
・
『は?』
今度はAがぱちくりと瞬きをする。
『え……?やめておこう、って……正気ですか?』
「まさか要求を取り消しただけで正気を疑われるとは…」
肩を竦めた森は苦笑を浮かべながら話し続ける。
「私としても君にはマフィアに戻ってきてもらいたいが……今はその時期ではない。
ましてや軍警や《猟犬》部隊に追われている人物を″二人″も組織に置くのは、こちらにもリスクがある。
…勿論、Aちゃんがマフィアに戻って来たいのなら──」
『遠慮させていただきます』
「…とりあえず今回の借りの返済は保留にさせてもらうよ」
Aは想像もしなかった展開に、口端を引き攣らせた。
『まさかそう来るとは……。
やっぱり貴方は治くんと同じで、全く読めない』
「それは私も同じ意見だ。
草田男くんと同じで、時々突飛な提案をする。
まあ、借りは借りだ。
いずれちゃんと返してもらうよ」
・
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jumpcontrolbear(プロフ) - 砂漠のうさぎさん» コメントありがとうございます!なんと!!私の知らないところでこの作品の名前が上がっていたんですね!嬉しい限りです!!更新ゆっくりですが頑張っていきます!ありがとうございます! (2019年10月21日 0時) (レス) id: 34857aaa52 (このIDを非表示/違反報告)
砂漠のうさぎ(プロフ) - あるユーザーさんの紹介から飛んできて一気読みしました。原作の雰囲気を崩さないで新しいキャラが動いていて凄いと思いました。話の展開とか言葉のチョイスとかとても好みです…更新楽しみにしてます、頑張ってください!長文失礼しました (2019年10月20日 21時) (レス) id: ad3e66ea3f (このIDを非表示/違反報告)
jumpcontrolbear(プロフ) - 桜さん» コメントありがとうございます!!あけましておめでとうございます!!また動くみんなを見ることが出来ますね!相変わらずの亀さん更新ですがよろしくお願いします! (2019年1月5日 23時) (レス) id: 10ce31b7ea (このIDを非表示/違反報告)
桜 - あけおめです!今年ほ更新頑張ってください!作者さん文スト3期4月放送ですよ!来ましたよ!!いろいろと大変かもれませんが頑張ってください! (2019年1月5日 1時) (レス) id: c482d4ca60 (このIDを非表示/違反報告)
jumpcontrolbear(プロフ) - 桜さん» コメントありがとうございます!!番外編も読んでくださったんですね…(感涙)楽しんでもらえてなによりです!!亀更新ですが頑張りますので気長にお待ちいただけると嬉しいです! (2018年11月22日 9時) (レス) id: 10ce31b7ea (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:だし丸 | 作成日時:2017年8月31日 11時