163針 ページ23
A side
「否 あれはな
唯の木片だ」
社長の口からサラリと出た言葉に探偵社員一同はポカンとする。
いや、まあ確かに木片……だけれども……。
社長の極端な云い方に思わず頬が引き攣った。
それでも社長は私達の驚きを気にすることなく言葉を続ける。
「勲章も賞賛も我等には細かき霧雨に同じ。
仮令 我等が栄誉無き地下のコソ泥でも
この殺人を止める為に命を掛ける」
「なら勝手にすればいい！」
社長の発言に乱歩さんは顔を一層険しくさせて怒鳴るように出て行ってしまった。
「乱歩さん！」
「追うな国木田」
乱歩さんを追いかけようとした国木田さんを社長が制す。
「探偵社は殺人犯を追う。
そして乱歩は「探偵社滅亡」の真相を追う。
同時調査…それが最適と乱歩も解っている」
社長は目を閉じて静かに云う。
「Aさん……乱歩さん、大丈夫でしょうか？」
隣に座っていた谷崎くんが心配そうな表情で私に聞いてきた。
『ん、まあ大丈夫だよ。
社長が云ったように、私達は殺人犯、乱歩さんは探偵社の事を同時に進める。
大丈夫、なんたって乱歩さんは″無敵″だからね』
フッと笑みを零しながら谷崎くんの方を向けば、彼は安心したようにそうですよね、と零した。
『それよりも私達は殺人犯の情報収集だ』
その一言と共に私は立ち上がる。
どろり、どろりと私の心の中で嫌なものが渦をまく。
この嫌な予感は私の感情を支配する。
『共喰い』が解決した時も治まることは無かった。
それに、この嫌な予感がなかったとしても……
『今回は……今まで以上に先が見えないな……』
街に出るため階段を降りながら呟く。
嫌な予感は私の気持ちを不安へと塗りつぶしていく。
あの時と同じだ……。
先生を喪った時、織田作さんを喪った時。
また私は今回も誰かを喪うのか……？
誰だ…？
私の近くにいて、何か危険が訪れそうな人……。
そこで私はふと足を止めて、頭に浮かんだ顔にヒュッと息を呑む。
そんな筈は無い、だってあの人の生命力の強さは誰もが認めてる。
嫌な程に、呆れるくらいに……。
でも、さっきの会議には顔を出ていない。
今日、一度も顔を見ていない。
『まさか……』
私の顔は青ざめているだろう。
考えれば考えるほどその人物の安否が頭の中を占める。
『治、くん………』
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jumpcontrolbear(プロフ) - 砂漠のうさぎさん» コメントありがとうございます！なんと！！私の知らないところでこの作品の名前が上がっていたんですね！嬉しい限りです！！更新ゆっくりですが頑張っていきます！ありがとうございます！ (2019年10月21日 0時) (
レス) id: 34857aaa52 (このIDを非表示/違反報告)
砂漠のうさぎ(プロフ) - あるユーザーさんの紹介から飛んできて一気読みしました。原作の雰囲気を崩さないで新しいキャラが動いていて凄いと思いました。話の展開とか言葉のチョイスとかとても好みです…更新楽しみにしてます、頑張ってください！長文失礼しました (2019年10月20日 21時) (レス) id: ad3e66ea3f (このIDを非表示/違反報告)
jumpcontrolbear(プロフ) - 桜さん» コメントありがとうございます！！あけましておめでとうございます！！また動くみんなを見ることが出来ますね！相変わらずの亀さん更新ですがよろしくお願いします！ (2019年1月5日 23時) (レス) id: 10ce31b7ea (このIDを非表示/違反報告)
桜 - あけおめです！今年ほ更新頑張ってください！作者さん文スト3期4月放送ですよ！来ましたよ！！いろいろと大変かもれませんが頑張ってください！ (2019年1月5日 1時) (レス) id: c482d4ca60 (このIDを非表示/違反報告)
jumpcontrolbear(プロフ) - 桜さん» コメントありがとうございます！！番外編も読んでくださったんですね…(感涙)楽しんでもらえてなによりです！！亀更新ですが頑張りますので気長にお待ちいただけると嬉しいです！ (2018年11月22日 9時) (レス) id: 10ce31b7ea (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：だし丸 | 作成日時：2017年8月31日 11時
