164針 ページ24
口から名前を出せば余計に不安は濃くなり呼吸を忘れるほど何も考えられなくなる。
『…ッハァ……』
震える手で携帯を取り出し治くんの番号を押す。
耳に携帯を押し当てながらお願い、出て!!と願うも電話の向こうからは無機質なコール音しかしない。
その間にも足を動かして街中を走る。
「おかけになった電話番号は現在電波の届か──」
駄目だ、繋がらない……。
携帯を仕舞って治くんの居そうな場所を頭に並べる。
川?ごみ捨て場?留置所?駅?喫茶所?
それとも……
競馬場!!
確か、治くんはいい馬がいる、とか最近云っていた気がする。
もしかしたら競馬場が一番確率が高いかも…。
そう思って競馬場に向かって走りながら、頭の中で今回の依頼について考える。
今回の依頼は政府からの依頼、なのにその政府から依頼を支援するような姿勢が感じられない。
それにこれだけ悲惨な殺害方法、まず人の手じゃ無理だ。
つまり、異能力によるものだと考えるのが普通。
そして、異能力に関して何かしら事件が起きた時、必ず特務課にまず受け渡されるはずなのに、その特務課から連絡は一切無かった。
まるで意図的に探偵社だけに捜査をさせているようにも感じる。
安吾さんの事だ、きっとこの連続殺人について何か調べているに違いない。
と、その時携帯が振動する。
治くんからの折り返しかと思ってすぐに表示画面を見たが、治くんではなく安吾さんからだった。
ある意味ちょうど良かった。
『もしもし、安吾さん?』
「善かったAさんには繋がりましたか」
安吾さんは少しだけ安心したような声色だった。
『と、云うと?』
「太宰くんと連絡が取れなかったので。
Aさんは如何ですか?」
『私の方でも駄目です、治くんの携帯に繋がりませんでした』
「矢張りそうですか。
とりあえず本題に入ります。
先程中島敦さんにもお伝えしましたが、今回の連続殺人の被害者に関して、政府関係者の手で改竄操作されていた形跡がありました」
『ッ!?……矢っ張りか…』
「Aさんにも何か考えることがありましたか?」
安吾さんは声は硬い。
『今回の依頼は兎に角怪しいです。
政府からの依頼なのに丸投げ状態ですからね…』
「注意してください、としか云えないのが辛いですが……我々の方でも独自に調べてみます。
何か判り次第また連絡します」
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jumpcontrolbear(プロフ) - 砂漠のうさぎさん» コメントありがとうございます!なんと!!私の知らないところでこの作品の名前が上がっていたんですね!嬉しい限りです!!更新ゆっくりですが頑張っていきます!ありがとうございます! (2019年10月21日 0時) (レス) id: 34857aaa52 (このIDを非表示/違反報告)
砂漠のうさぎ(プロフ) - あるユーザーさんの紹介から飛んできて一気読みしました。原作の雰囲気を崩さないで新しいキャラが動いていて凄いと思いました。話の展開とか言葉のチョイスとかとても好みです…更新楽しみにしてます、頑張ってください!長文失礼しました (2019年10月20日 21時) (レス) id: ad3e66ea3f (このIDを非表示/違反報告)
jumpcontrolbear(プロフ) - 桜さん» コメントありがとうございます!!あけましておめでとうございます!!また動くみんなを見ることが出来ますね!相変わらずの亀さん更新ですがよろしくお願いします! (2019年1月5日 23時) (レス) id: 10ce31b7ea (このIDを非表示/違反報告)
桜 - あけおめです!今年ほ更新頑張ってください!作者さん文スト3期4月放送ですよ!来ましたよ!!いろいろと大変かもれませんが頑張ってください! (2019年1月5日 1時) (レス) id: c482d4ca60 (このIDを非表示/違反報告)
jumpcontrolbear(プロフ) - 桜さん» コメントありがとうございます!!番外編も読んでくださったんですね…(感涙)楽しんでもらえてなによりです!!亀更新ですが頑張りますので気長にお待ちいただけると嬉しいです! (2018年11月22日 9時) (レス) id: 10ce31b7ea (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:だし丸 | 作成日時:2017年8月31日 11時