雨雲 ページ26
ぼおっとする意識の中で目だけを動かしてみる。
目に入る眺めは世界が傾いていた。
多分こうやって見えるのは、ボクが倒れているから。
それからポツリポツリとボクの体に冷たい雨が降ってくる。
目をゆっくりと空に向ければ、灰色だった雲はどす黒い雨雲に変わっていた。
そのせいか、時刻は昼間だというのに薄暗く感じる。
ボク、結局心臓刺されたんだっけ?
刺されたら死んでるはずだよね?
近くに兄の姿も、地面に広がっていた影も無くなっていた。
じゃあ刺されてないのかな?
でも体は動きそうにないし、目の前も霞んできた。
感じるのは、体から熱いものが流れ出ていく感覚と、雨によって奪われていく体温。
刺されたお腹の傷から血がとめどなく流れ出る。
口の中は血の味が広がっていた。
『獣、皆……』
かすれる声でいつものように呼んでみても誰も出ては来ない。
まあ、ボクが死にかけてる状況で異能が発動するわけがないか。
いやそれとも、雨雲で光が遮られて、影が無いのかな?
どっちでもいいや。
このままここで倒れてたら、出血多量か体温低下でどうせ死ぬんだし。
意識が徐々に霞んできた。
あぁ、ボクの死因が殺したはずの兄に殺される、だなんて………
まあ、それでもいいか。
自分が殺した人間に殺される人なんてそうそういないもんね。
それでも、やっぱり、最後は誰かに看取って欲しかったなぁ……。
ボクを………私を──。
………誰か_______________
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jumpcontrolbear(プロフ) - 螺旋さん» コメントありがとうございます!!そんなに喜んでいただけて私も嬉しい通り越して恥ずかしいです(笑)またいつでも読みに来てください! (2019年10月17日 0時) (レス) id: 34857aaa52 (このIDを非表示/違反報告)
螺旋 - 初めましてです!めっちゃすんごく感動しました!!なんでこんな良い作品に気付けなかったのだろう…。こんな素晴らしい夢小説を書いて頂きありがとうこざいました!!他作品(?)も頑張ってくださいね! (2019年10月16日 22時) (レス) id: db579f6a09 (このIDを非表示/違反報告)
jumpcontrolbear(プロフ) - あまねさん» コメントありがとうございます!!そんなふうに言って頂けて凄く幸せです!この作品を楽しんで頂けて何よりです!これからも頑張っていきます!! (2018年10月16日 10時) (レス) id: 10ce31b7ea (このIDを非表示/違反報告)
あまね - 初めまして、素敵な作品を最後まで書いてくださりありがとうございました! 二次創作でこんなに素敵な作品に出会えるとは思っていませんでした。最後まで飽きない設定、魅力的な主人公、時の流れ方や人の掛け合いがどストライクでした。これからも応援しています!! (2018年10月16日 2時) (レス) id: a12fc59e9a (このIDを非表示/違反報告)
jumpcontrolbear(プロフ) - Nightさん» コメントありがとうございます!なんとか完結出来ました!また他の作品も頑張っていきます! (2018年9月9日 11時) (レス) id: 10ce31b7ea (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:だし丸 | 作成日時:2018年3月23日 15時