01 名前も知らない ページ1
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____その日、私は初めて恋をした____……。
「 今日から二年生の新入部員が来るんだよ〜 」
幼なじみの桃井ちゃんから急に言われた言葉に戸惑いつつも、期待はしていなかった。
日本一と謳われる帝光中バスケットボール部。
入部した人の半分以上は退部する年があるほどだ。
しかも二年生から途中入部……
二年生には特別な存在____青峰たちがいる。
同学年との実力差を痛感してすぐ辞めるに違いない。
一年間マネージャーをしてきた経験から辛辣な印象しか頭に浮かばなかった。
「 どんな人か知らないけど二年ならきついかもね。桃井ちゃん、ドリンク頼める？ 」
「 分かったー！Aちゃんは洗濯？ 」
「 うん、洗濯好きだから。それじゃ 」
「 二年生の新入部員来たら呼ぶねー！顔合わせしなきゃいけないでしょ？ 」
「 ……そうだね、よろしく 」
部員たちが練習に使ったゼッケンをまとめた籠を両手で持ち洗濯機がある場所へと歩き出す。
今日は量が多くて少しきついな……。
よたよた歩きながらも数十メートル先とそう遠くない洗濯機に向けて足を動かす。
腕が痛くて一回地面に置こうとしたけど我慢した。
___その時……
「 おっと、大丈夫っスか？ 」
目に飛び込んで来た最初の情報は『 黄色い 』。
よく状況を飲み込めずにいたけど数瞬後把握する。
黄色い人が私の持ってた洗濯籠を支えてくれたんだ！
よたよた歩いてたからかな？
なんて親切な人なんだろう。お礼を言わなきゃ……
「 ごめんなさい、ありがとうございますー。
大丈夫です、助かりましたー 」
そう言って頭を下げた。
そして顔を上げる。
あれ、私の目には人の首しか見えない。
慌てて見上げると180cm弱はあると思われる金髪のイケメンがニカッ、と笑っていた。
「 大丈夫っスよ！困ってる可愛い女の子がいたら助けないと!! 」
彼はそれじゃ、と手を振って私とすれ違う。
……軽い。
いやそこじゃなくて……
「 何今の人……！か、かっこいい……!! 」
私の好みに好みすぎた彼は私の心を奪っていった。
顔が真っ赤になり放心状態。
胸が苦しい。
昔、桃井ちゃんが言ってた。
『 テツくんを見てると、顔が真っ赤になって胸が苦しくなるの……これが恋なのかなぁ…… 』
同じ症状だ。
そっか、これは恋なんだ。
私は名前も知らない金髪のイケメンに一目惚れしたんだ……!!
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作者名：姫宮 亜梨栖 | 作成日時：2018年4月25日 7時
