【金カム】地獄の果てで会いましょう【尾形】 (ページ7)

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偽アイヌ 3 ページ7

「そうだな俺もぜひそこが知りたいね。聞きたいこともあったんだ。ちょうど戻ってきたそこの……」

尾形さんはちらっと家の入口のほうを見た。ちょうど、アシリパさんを案内すると出て行った男の人が戻ってきていたのだ。

「あれ？アシリパさんは…？」
「弟が言うには、あの娘は近所の女性に刺繍を教わって夢中になっているそうだ。まあこんなところは子供に見せない方が良いだろう…」

エクロクさんの言葉が終わるか終わらないかのその刹那。杉元さんがエクロクさんの弟を殴り倒していた。

「アシリパさんが『刺繍に夢中』だぁ？てめえ……あの子をどこへやった？」

先程までの穏やかな表情はどこへやら、杉元さんは怒りの形相で村長さんに詰め寄っていた。
杉元さんのあまりの剣幕に、村長さんは恐怖を感じたのだろうか、顔を真っ青にしている。ふと、倒れた村長さんの弟の足を見ると、入れ墨が彫られていた。それは、ヤクザそのものだ。

「そうそうさっきも出て行くときにちらっと足首に見えた気がしたんだよな。ヤクザがアイヌのふりか」

尾形さんが得意げに言い放つと、杉元さんの怒号が響く。

「アシリパさんをどこへやった！！」

その声は、まるで地獄の底から響いているかのように恐ろしかった。それからの杉元さんと尾形さん、牛山さんの行動は素早かった。
杉元さんは弟を騙っていた男の首を折って殺すと、家から飛び出していく。牛山さんもそれに続いていき、偽アイヌたちを投げ飛ばしていた。尾形さんは、そんな二人を家の窓から援護していた。

私はというと、尾形さんのそばに駆け寄り、三八式短小銃を握りしめ偽アイヌの男たちの腕や足を撃っていく。しかし、それを見た尾形さんが、私が撃った男の頭を容赦なく撃ち抜いた。

「甘っちょろいやつだ。なぜ殺さない」
「……私は人を、殺したくありません。たとえ悪人であっても……」

そう言うと、彼はフンと鼻を鳴らした。

「どうせこいつらは、俺たちを殺す気だった。殺られる前に殺る。それが戦場での鉄則だ」
「それでも……」

尾形さんは私の意見など聞かず、家から出て行こうとする。
すると、家の影から偽アイヌが一人現れた。今にも尾形さんに襲いかかろうとしている。