【金カム】地獄の果てで会いましょう【尾形】 (ページ44)

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本当のチタタプページ44

その日の夜の夕食は、大人数のためかとても賑やかなものだった。獲ってきた鮭をアシリパさんが捌いて調理していく。
その内、鮭の上顎にある氷頭という軟骨のある部分を、チタタプにすると教えてもらった。アシリパさんからそれを聞いた杉元さんは、嬉しそうに「ハイ、出ましたチタタプ！！」と言った。

それからみんなで順番にチタタプしていく。
私の順番も終わり、次に尾形さんの番になった。「尾形〜〜」とアシリパさんが尾形さんを呼ぶ。

「……」
「みんなチタタプ言ってるぞ？本物のチタタプでチタタプって言わないならいつ言うんだ？」
「……」
「みんなと気持ちをひとつにしておこうと思ったんだが……」

そう言ってアシリパさんが腰をあげた時、「チタタプ」と聞こえるか聞こえないかくらいの声が聞こえた。音の発端は確かに隣にいる尾形さんから聞こえたような気がする。

アシリパさんも聞こえたようで、「言った！聞いたか？」と杉元さんや谷垣さんたちに聞きまわっていた。

「Aは！？聞こえなかったか？！」
「大丈夫ですよ、私は聞こえました」
「ほらな！？やっぱり言ったじゃないか！！Aにもちゃんと聞こえて、よかったな！」

その後尾形さんは一言も発することなく、チタタプを終えた。

チタタプをした後は、みんなで食事を囲んだ。チタタプした鮭は、生臭さは消えており、柔らかく、非常に食べやすかった。

「お嬢はあれから“いい人”はみつかったのかい？」

鮭をたべていると、牛山さんが唐突に尋ねてきた。私は首を横に振る。

「残念ながら…。でも、今はこのままでもいいかなと思っています」

私がそう言うと、牛山さんがニッコリ笑うと、「お嬢さえよければ俺はいつでもいいからな」と耳打ちしてきた。
この人は本当に油断ならない。
私は苦笑いを浮かべることしかできなかった。

すると、牛山さんは今度はインカラマッさんの方へと顔を向ける。