盲目の盗賊 5 ページ39
しばらく歩くと、再び尾形さんは立ち止まり、銃を構える。そして一発撃つと、何かに当たった音がする。だがそれは、人に当たった音ではなく、物か何かに当たった音のようだった。
「もうちょっと明るければ外さなかったのに。あと2発か…」
「…尾形さん、私の銃を使ってください。弾はたくさんありますから」
そう言うと、私は自分の持っていた銃を彼に差し出した。しかし、何かを考えるような素振りを見せ、それを断る。
「…それは護身用に持っておけ。俺には必要ない」
「でも、」
反論しようとすると、私の言葉を遮るようにして「この先は俺だけで行く。お前はここにいろ」と言って歩き出してしまった。
仕方なく、私は自分の持つ銃を見つめながら、その場に座った。
どれくらい経ったのだろうか。
しばらくすると、遠くの方から足音が聞こえてきた。誰か来たようだ。じっとその場に身を潜めていると、「お嬢さん」と声をかけられた。
「…土方さん？」
暗闇の中から現れたのは、見知った顔だった。後ろには、永倉さんや牛山さん、そして全裸のチカパシくんと白石さんがいた。「Aちゃん！」「A！」とそれぞれ再会を喜んでくれたのはいいが、なるべく下を見たくないので近づかないでほしい。
それにしても、なぜ彼らがこんなところにいるのだろうか。
「大体状況は聞いている。この犬っころが案内してくれた」
そう言われ、足元をよく見るとリュウがいた。リュウは私を見ると、ワンッ！と元気よく鳴く。
「…盗賊たちがあちらへ行きました。恐らく、隠れ家へ逃げたようです。尾形さんが今、それを追っていったところです」
「わかった。私たちも向かおう」
私たちはすぐに盗賊を追いかけることにした。しばらく走ると、銃声が聞こえる。
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作者名：塩わさび | 作成日時：2022年8月11日 22時
