【銀魂】先生と呼ばせてください (ページ10)

今日:2 hit、昨日:2 hit、合計:61,270 hit

先生と正体1 ページ10

黒縄島から帰った僕達は、地下に潜っていた。

信女さんから、虚とは何かを話してもらい、銀さんと桂さんが驚愕していたところ、僕ははっとして叫んだ。

｢じゃ、じゃあ先生は！先生は……｣

｢あなた達の言う先生、とはこの人の事かしら｣

物陰からひょっこりと先生が顔を出した。普段と同じ笑顔を見せる先生に目頭が熱くなった。

｢なんだ貴様は……｣

桂さんは先生を見て目を見開いた。

｢私は虚と同じ身体を持っています。私は彼の殺戮の生を終わらせたい。名前は特にありませんので、好きに呼んでください｣

｢じゃあAで｣

銀さんが即答した。その名前は、僕が聞いたことのある数ある先生の呼び名の1つではなかった。

銀さんがいつもの気まぐれでテキトーに決めたのかと思いきや、先生の反応は僕の想像と違っていた。ぽかんとして、次の瞬間、泣きそうな顔になっていた。

｢オイ！何先生泣かせてるアルか！｣

｢違います、嬉しいんです。覚えていてくれたんですね、銀時さん……｣

｢最初からそう名乗ればよかったんだよテメェ｣

銀さんは照れくさそうにがしがしと頭をかいた。

｢戦争中もそのあとも、ずっとアンタのことが気になってた。生きてるか死んでるかくれぇ知らせてくれてもよかったのによ｣

｢すみません。私も戦争に参加していて、それどころではなかったんです｣

先生と銀さんは過去に会ったことがあるということが、この時初めてわかった。

｢紛らわしい格好と髪型しやがって……あの時みたいに切るか、それか結うかしろよ｣

銀さんがグチグチと文句を垂れながら先生の髪を綺麗なポニーテールに結っていた。先生は楽しそうだった。

｢何泣いてんだよ新八｣

｢先生と銀さんが仲良くなれて良かったって、そう思ってるんです｣

｢仲良しだよ昔から、な、ヅラ｣

｢バカを言え、貴様は喧嘩を売り髪を弄っていただけではないか｣

｢あぁん？テメェは気に入られようと媚び売ってたなァ色々話せがんだりして｣

｢媚びてなどおらん！貴様がAの話を陰からこっそり聞いていたこと、俺も高杉も松陽先生も知っているのだからな！｣

｢はいはい、喧嘩はやめてくださいね。因みに銀時さんが話を聞いていたことは私も知っていましたから｣

｢何でだよ！｣

｢後ろで騒がないで貰えますか、銀時さん｣

先生がニコニコ笑顔で握り拳を作る。銀さんと桂さんはぴたっと黙った。先生がおや、効果的と呟いたが詳しい意味は分からなかった。