その日、兼続殿は「義」を失いました。

三成が居なくなりました。 ページ1

「三成…幸村…！この戦で我等が勝利をすれば、義の天下が成るな！！」

兼続は果てしなく青い空に向かい、話しかけて居た。

「ですよね！景勝様！！」

「うむ…」

この戦で不義の輩を倒し、義の天下を成す事が、兼続にとって明るい未来だった。友と…泰平の地を歩くのが、兼続の夢だったのだ。

なのに…

「伝令！！」

この時代とは残酷なもので…

「どうしたのだ！？」

そんな簡単には

「関ヶ原にて西軍が敗北！石田三成様は…斬首された模様！！」

夢も希望を見せてはくれなかった。

「三…成が……？」

「兼続！」

兼続の明るい希望はもう…断ち切られたのだ。

「三成…！何故だ……！！」

「伝令！伊達軍が我等上杉軍を追撃してくる模様！！」

「政宗…が…か…」

涙に濡れた頬は、

「全軍！撤退！！生きて米沢に帰るのだっ！」

隠さなければ、無くなった。

血の匂いを嗅ぎつけた山犬どもが、此方にやってくる。

兼続は、その時すでに壊れ始めて居た。

長谷堂→

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