89輪目 ページ43
初戦突破の翌日。
「予選初戦無事突破!おめでとー!!」
「おめでとう!」
さつきちゃんと一緒に初戦突破を祝うが、皆の反応は薄い。
「ん。」
「そうだな。」
さも普通に昼食を食べる皆。
「あれ、テンション低い!?」
「むしろ何でお前らが高けーのか聞きてーよ。」
「いつものことじゃん。」
驚いた様子のさつきちゃんに対してしらけた様子の彼ら。
「まぁ勝ったのは喜ばしいことだ。この調子で油断せずに行こう、と言って終りにしたいところだが1つ提案がある。」
箸を置きながら話し始める赤司くん。
「今のこのチームは強い。先輩達の話を聞いても過去最強と言っていいだろう。」
「それに何の問題があるんスか?」
黄瀬くんが不思議そうに尋ねる。
「だからとも言えるが、試合で勝ちが決まってからモチベーションの低下がしばしば目立つ。だが監督も言っていたはずだ、どんな相手にも全力を尽くすのが礼儀と。」
確かに、赤司くんの言葉には覚えがある。昨日の試合でも感じたことだ。
「よってノルマを課したい。相手によって変更もあるが、基本1試合1人20点取ること。」
「それって…」
それではただの点取りゲームになりはしないかと不安に感じた。だが、その言葉は飲み込む。モチベーションの低下は事実だからだ。
「いーんじゃないスか?楽しそーだし。ねー青峰っち?」
「あー…なんかめんどくせーな。」
黄瀬くんは賛同しているが、それに反して青峰くんの反応は薄い。
最近の様子も相まって彼に尋ねる。
「…珍しいね。青峰くん、こういうの好きそうなのに。」
「だってよー、勝ってんならいーだろ別に…。」
気怠そうに話す彼に不安を感じた。以前の彼なら嬉々として受けたような話だからだ。
「オレも決して好んで課すわけではない。だがはっきりと言わせてもらえばモチベーションの低下が特に目立つのはお前だ。嫌ならばプレーで示せ。スコアラーが得点に執着しないようではチームの士気に関わる。」
そう厳しい言葉をかける赤司くん。
「…わったよ。とにかく点取ればいいんだろ。」
ふてくされた様子の彼。
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その後も帝光は予選トーナメントを順調にコマを進めた。
けれど、このときから青峰くんのサボりが目立つようになっていった。
ー彼の才能の開花と同時に。
けれどまだこの頃は良かった。黒子くんの言葉で思いとどまっていてくれたから。
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作者名:みぃ太郎 | 作成日時:2023年7月25日 21時