48輪目 ページ1
結果から言うと、黒子くんはなかなか活躍できなかった。
何故かパスがうまく通らなかったのだ。
「元気出せって、テツ!まだもう1試合あんだ。」
「そうそう、次で挽回すれば大丈夫だよ。」
「青峰くん、亜麻野さん…。」
私と青峰くんは落ち込む黒子くんを励ます。あの試合の後、私達はお昼休憩を取っていた。
「げ…。」するとお弁当を開いた青峰くんが表情を青くする。
「峰ちん、何それ?」紫原くんは不思議そうに尋ねる。
「弁当…さつきの。」
「すげー、いいじゃん。」
「いる?」「気持ち悪いからいい〜。」
どうやらさつきちゃんの手作りらしい。あのカレーを思い出して私は恐怖に震えた。
「コンビニ行ってくるわ。」
どうやら、流石にあれを食べることは諦めたらしい。
「あ、私も行こうかな。」
「おー、なら一緒に行こうぜ。」「うん。」
せっかくだし、飲み物でも買いに行こうと青峰くんと向かった。
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「危うく死ぬところだったぜ。」
先程のお弁当を思い出して震える彼。
「あはは…。でも、手作りのお弁当って嬉しいよね。」
「気持ちはありがたいんだけどよ、あれは食いもんじゃねー。さつきも亜麻野くらい料理が上手かったらいいんだけどな。」
すると見知った姿が目に入る。
「あれ?コーチとキャプテンだ。」
「本当だ。何話してんだ?」
聞き耳を立てると、「次はない。先程の試合で十分分かった。黒子はやはりダメだ。降格してもらう。」というコーチの厳しい声が聞こえてくる。
その言葉に驚いていると、青峰くんがコーチ達のもとへ走って行ったので、慌てて追いかける。
ようやく追いつくと、彼は「まだ午後の試合が残ってる。もう1度だけアイツを使ってやってください!」とコーチに頼んでいた。
しかし、「ダメだ。これ以上、見る価値は無い。彼は降格にする。」と一蹴されてしまう。
その言葉に、彼のプレーは凄いのに…と歯がゆく感じる。
それは青峰くんも同じのようで、
「次ももしダメだったら、俺も降格する。だからお願いします!アイツはいつか俺達を救ってくれる…なんでか分かんねーけど、そんな気がするんだ!」と話す。
私も、「お願いします!彼のプレーはきっとチームに必要になるはずです。もう1度だけ機会をください!」と頭を下げる。
「亜麻野まで…。分かった。ただし、もう1度だけだ。」
コーチはため息をつきながらだが、了承してくれる。
その言葉に胸を撫で下ろした。
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作者名:みぃ太郎 | 作成日時:2023年7月25日 21時