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14輪目 ページ16

「ミケちゃん、早く行こ〜!」
その日の放課後、さつきちゃんに手を引かれて体育館に向かう。今日は1軍の練習の業務に参加させて貰うことになったのだ。

「ふふ。嬉しそうだね、さつきちゃん。」
「だって、久しぶりの部活だもん。」にこにこと笑う彼女。
「そうだね。」私も思わず笑って返事をする。


しかし、体育館の前に着いたとき、異変は起こった。

「あれ?アンタ1年マネじゃん。なかなか可愛いね。」
灰色の髪をした男子生徒が、さつきちゃんに絡み始めたのだ。

そして、「そっちのアンタは…ぶふっ、ほんとに中学生?小学生かと思ったわ。」と私は馬鹿にしたような視線と言葉を浴びせられる。

「ねえ、この後ヒマ?ゲーセン行こうぜ。そっちのちっこいのも一緒でいいし。」
さつきちゃんの肩に手を回しながら絡み続ける彼。

不良を前にして恐怖を感じたが、震えている彼女を目にすると私の口は勝手に動いていた。

「わ、私達、これから部活なんです。だから、さつきちゃんから手を離してください。」
「ミケちゃん…。きゃっ!」
彼を見上げながらそう話すと、彼はさつきちゃんを乱暴に離し、じりじりとこちらに寄ってきた。

「へぇ。なかなか威勢が良いんだな、ちっこいくせに。ナンパの邪魔した詫び、取ってくれるんだよなぁ?」
ニタリと笑いながら私の頭に手を置く彼に恐怖を感じるが、負けずと睨み上げる。

「ミケちゃんから手を離してっ!」
「うっせーよ。黙ってないと、コイツの頭、潰しちゃうかもなぁ?」
「なっ…。」
さつきちゃんが止めようとしてくれるが、彼はそれを一蹴した。

「なぁ。名前、教えてよ?」
「…亜麻野ミケです。」
「ミケちゃんね。俺は灰崎祥吾、ヨロシクね。」
よろしくなんてしたくない。

「じゃあ、カラオケでも行こっか。あの子の代わりにミケちゃんが付き合ってくれるんでしょ?お詫びに。…あれ?しかもあの子、逃げてんじゃん。可愛そうだね、アンタ。」
私の手を掴みながら楽しそうに話す彼。

「…嫌だって言ったら?」震えた声で尋ねるが、
「俺、怒ると何するか分かんないよ?」と掴まれた手に力を込められる。

痛みと恐怖で視界がぼやけた。

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作者名:みぃ太郎 | 作成日時:2023年6月22日 13時

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